松井オープン戦初本塁打とオーナー車破壊弾

 エンゼルス・松井がようやく始動してきたか。オープン戦本塁打を放ち、打撃の勘が戻ってきたようだ。先日はドジャース戦で初めての守備に就き、今シーズンは外野守備もできる可能性を持たせた。もっとも松井からすれば、そのためにエンゼルスに移籍したともいえるからである。

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 その初本塁打の打席の大ファールが、なんとエンゼルス・オーナーの高級車(ベンツ)を直撃。フロントガラスにヒビを入れてしまったという。いくら場外にボールが飛んだからといって、よりにもよって自らの大ボス(オーナー)の車を正面から直撃するとは凄い偶然といわざるをえない。まるで狙ったかのようにというか、狙ったとしても到底命中はしないだろう。考えようによっては、これはきわめてニュース性が高いだろう。松井は知らずに直後に初本塁打を打っているのだから、何かの因縁を感じずにはいられない。松井は場外でも信じられないことを引き起こすようだ。結果的に、このことでエンゼルスのオーナーの人となりが、日本のメディアを通じて知れ渡ったととも言えるからである。いくら資産家で高級車を壊したくらいでは影響はないとはいっても、愛車が傷つけられて気分が良いはずはないが、視察に来た試合で松井の本塁打を見て、松井のお詫びのサイン入りボールを自慢げに見せながら一笑に付すなど、この一件で日本のエンゼルス・オーナーに対する好感度は一気に増したといってもいいくらいだろう。こんなことでもなければオーナーのことが日本のマスコミの話題になることもなかっただろう。まさに「けがの功名」のようである。


 そしてこの一件に大笑いして喜んでいたのが、松井の同僚となったセンターのトリー・ハンターである。チームリーダーでもありムードメーカーでもあり、早くも松井とウマも合っているようである。キャンプ初め、松井の打撃練習の場外弾がハンターの車をかすめて悲鳴を上げさせられた経験ももつだけに、オーナーの車の方は大当たりになってしまったことで笑いが止まらないようだ。「これでマツイはマイナー落ちだ」のジョークも冴えわたる。松井に取材の度に、このハンターにも話を聞きに行くから(面白コメントを期待されているのだろう)、ハンターも日本での人気が出そうだ(ちなみにハンターは2002年日米野球でMVPになっている)。ヤンキース時代のジーターやバーニー・ウィリアムスの存在に近くなるだろう。


 マリナーズとのオープン戦で、松井が久しぶりの対面で先輩であるイチローに何と声をかけるかと思いきや「(ボクの)赤、似合ってますかぁ?」だから笑わせる。イチローでなくてもこれにはわざと「似合ってねーよ」と言いたくもなる。案外、松井は周囲以上に自分のスタイルも気にするのかもしれない。松井とイチローはボケとツッコミの関係のようでもある。二人は高校時代の練習試合で初対面しており、その後の風呂でも出くわしている。イチローによれば当時3年生だった自分が当然一番風呂だと思って入ってみたら、2年生だった松井が悠々と先に風呂に入っていたという。松井の高校はどうなっているんだと呆れたという。1年先輩後輩の関係もあるが、性格的にもその頃から両者の関係は変わっていないようにも思える。


 日本のプロ野球は開幕したが、メジャーリーグはこれからである。球場の内外で、松井がまたしても想像もできなかったような活躍をして、話題をふりまくことを期待している。