IE9のHTML5動画はH.264のみ採用
新たなIE vs Firefoxの構図となるのだろうか。IE9ではHTML5動画の標準のコーデックをH.264のみに対応させるのだという。HTML5対応で何が変るのかと問われたとき、ブラウザの種類によって異なる最大のものとなりそうである。
IE9、HTML5動画再生はH.264フォーマットのみ対応(ITmedia) Google、「Chrome 5 β」を公開 Flashをネイティブサポート ネット参入に“料金所”は要らない、Mozilla(@IT 1.25)
動画コーデックだけで見れば、現状ではライセンスありのH.264を採用がIEとSafari、オープンソースのOgg Theoraの採用がFirefoxとOpera、Google Chromeは中立的に両方採用ということになっている。ライセンス寄りのMicrosoftとApple、オープンソース寄りのMozillaとGoogleの対立と見ることもできる。実際、MicrosoftのIE9のH.264の採用理由の1つは「ライセンス関係がはっきりしている」からであり、Mozillaの正にその逆でライセンスがあることがFirefoxへの不採用の理由としている。
これにHTML5動画の出現により、Flashを排除したがっているAppleとAdobeの対立のことも絡んでなかなか複雑である。とはいっても、ユーザによっては従来のコーデック問題と同様で煩わしいだけの話であり、開発者が一番困ることになりそうである。かつてのDVDの規格、Blu-rayへの統一までのゴタゴタと似たことになるかもしれない。そもそも2種類以上が存在している時点で「標準」とは言うべきものではない気もする。
最終的には再生される頻度の高いコーデックの方に傾くことになるのだろうか。そうなると、ブラウザのシェアと大きく絡んでくることになる。IEのシェアを急速に追い上げるFirefoxとGoogle Chromeなどにとって、これまでは主にJavaScriptの実行速度をアドバンテージとしてアピールしてきた。それに対してIEにとってはH.264の標準化を新たな対抗軸にしてシェア低下の歯止めをかける意図もあるかもしれない。
一方でうまく立ちまわっているのはGoogleといえるかもしれない。技術的な負担はともかく、両方のコーデックに対応させ、さらにGoogle Chrome 5(HTML5と偶然バージョン番号が合いそうである)では、YouTubeのことを考えれば当然であるのかもしれないがFlash Pluginもネイティブに統合させるという。HTML5動画の動向とFlashの今後はどうなっていくことか。