電子書籍販売サービス「Google Editions」開始へ

 iPad電子書籍市場を変えるのではないかと言われる中、Googleも参戦してきそうである。「Google Editions」という名の電子書籍販売サービスを7月にも開始するのではないかとのことである。単にGoogleの新たなWebサービスが加わると出てくるというだけでなく、巨大な電子書籍市場の開拓に向けて、AmazonAppleのiBookstoreに対抗していく存在になろうとしている。無償のWebサービスが当たり前だったGoogleが、初めて?実売サービスにも乗り出すということにもなる。

グーグル、電子書籍販売サービス「Google Editions」を7月にも開始へ-米報道(CNET Japan)
Google Readies Its E-Book Plan, Bringing in a New Sales Approach(WSJ)

 Googleと書籍といえばGoogle Booksがあるが、著作権の問題などで反対の声も上がっていた。勝手に書籍の一部をスキャンしているだけではないかというわけである。何やらGoogleストリートビューがプライバシー侵害ではないかという批判と似たような状況である。ただ絶版になっている書籍のイメージを見られるなど、ユーザにとってはありがたい存在ではある。これと合体するようになると、絶版になっている書籍の電子書籍販売をほぼGoogleが独占することにもなりかねない。Amazonロングテールどころか、裾野で既に収益ゼロになっている絶版本からの利益を生み出すことになる。

 
 また電子書籍としての形式も、ダウンロード可能なPDF形式ではなく、完全にWeb画面で読むダウンロード不可能なEPUB形式になるとのことである。FlashだけではなくここでもAdobe排除か、というわけではなくEPUB形式ではGoogleにとっては著作権問題を回避できるとみているからである。PDF形式でダウンロードして印刷して綴じて紙の書籍にする、という旧態依然の発想そのものを変えていかなければならないということになるだろう。


 そうなると電子書籍は手元に所蔵はできないから、販売するといっても紙の書籍やダウンロードできる電子書籍と同じ価格というわけにはいかない。格安でオンライン書籍にアクセスできるようになるのは、有料の動画をオンデマンドで見るのと似たようなことになるかもしれない。しかしメリットもある。デジタルテレビ画面に表示させたりすれば、本よりも大きく表示させることができたり、音声で読み上げさせたりすることもできるようにもなるだろう。オフラインだった書籍も、電話、新聞、デジタルテレビのようにネットに包含されるものとなっていくことになる。