「Google TV」を発表

 Googleナントカの新しいサービスではなくて、モノとしてのセットボックス(STB)に組み込まれての発売になるという「Google TV」が発表された。ソニーとの提携の製品で「Webとテレビの融合」を目指すものだが、さてどうなるだろうか。

グーグル、「Google TV」プラットフォームを発表--テレビとウェブを融合(CNET Japan)
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「Webとテレビの融合」失敗の歴史、Google TVは覆せるか(3.23)

 タイミング的には国内では、2011年の地デジへの完全移行に伴ってデジタルテレビの買い替え需要が嫌でも増すことになるわけだから、そのときに一緒にWebも一緒に見れるテレビはいかがですか、という発想はありうるだろう。ただこれが本筋の「Webとテレビの融合」と言えるかどうかは疑問のあるところである。「放送と通信の融合」がテレビ番組を発信する側のテレビとネットの融合をどうするかの問題であるならば、このSTBはあくまで受像器であるテレビにYouTubeなどの映像も表示可能にしたという程度のものに見える。極端な話、ネットに接続されたPCの映像をプロジェクタを通じて壁のスクリーンに映したものと、どれだけの違いがあるのかということである。


 したがってGoogleというより、あくまでテレビ機器を製造する側(ソニー側)のコンセプトの製品のようにもみえる。テレビがなくてもPCでテレビ番組を見たり、ケータイで見たりできる時代になっているだけに、Webとテレビと言ったとき、まずテレビ機器がありき、でもないような気がする。


 商品コンセプトとしては、人気に陰りのあるテレビでもネットで人気のあるYouTubetwitterも見られるようにすることによって、人気の囘復をはかるというようにも読める。しかし最大の問題は、テレビの視聴者とネットユーザはあまり重なっていないことである。確かにテレビの方が画面は大きいからといって、ネットユーザがわざわざテレビでYouTubeを見るようになるだろうか。せいぜい普段テレビしか見ない家族などに、YouTubeのビデオを見せるくらいのことではないだろうか。あくまでテレビ番組とネットのコンテンツは別々のままである。Google TVはこの切り替えをスムースに行えるソフトウェアだといえそうだ。単純なインターネットとテレビの「融合」はこれまで失敗してきた歴史がある。同じ画面を見ていてもテレビとWebの世界の隔たりは、技術的なもの以上に意外に大きいもののようである。