GoogleがWindows利用を停止へ

 他所の社内の話でのことなら、どうでもよいのではないかと思えるのだが、そうもいかないようだ。Googleが社内でのWindowsの利用を段階的に停止するのだという。Microsoftへの当てかけか、と思いたくもなるが直接的な動機は、中国でのサイバー攻撃からの被害の経験が動機になっているという。

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 Windowsの利用をやめて、Mac OSLinuxの使用を勧めるのだという。Windowsのセキュリティ対策云々はともかく、現時点で最も攻撃のターゲットになっているOSはWindowsだということには間違いがない。Microsoftは最もセキュリティ対策に力を入れていると言うが、そもそもターゲットになっていること自体が危険性を帯びていることは確かであろう。


 ただGoogleの社内での利用は、世間一般での利用とは訳が違う。PCの初心者集団が利用しているわけではない。以前、Googleの社内でもUbuntuが利用されているという話題で、Linuxでは後発のUbuntuが一気に有名になっていったように記憶する。「あのGoogleの社内でも使っている」というステータスができ上がるからである。逆に「あのGoogleが敬遠している○○」はネガティブな宣伝にもなりうる。それが今秋に公開される予定のChrome OSの宣伝のためではないか、という穿った見方もある。Microsoftとしては単に他社のこととばかり、見過ごしてもいられないのだろう。返す刀でGmailの批判もしている。


 Google内部では、別にWindowsを利用しなくても困ることはないだろう。せいぜい公開するサービスがWindowsの環境でも問題がないかどうかをテストするのに必要なくらいなものだろう。Linuxが登場してから10年以上経ってもサーバー環境ではともかく、デスクトップ環境でWindowsに取って代わることはなかった。しかし当時とは情勢は変わりつつある。デスクトップ環境が次第に必要がなくなり、Web環境だけがあればよさそうになってきたからである。セキュリティ云々もデスクトップ環境そのものがなくなり、デスクトップ・アプリのインストールも不要になれば、自ずとセキュリティも高まる。多くの攻撃に曝され、数多くの防御、対策を次々に講じなければ利用してはいられない環境とは、発想からして異なる。しかし、だからといって、まだ見ぬChrome OSが、安全かどうかは何もわからない。