Linuxサーバー市場だけブラス成長

 金融危機の影響をもろに受けた2009年のPCのOS市場は、クライアントPC、サーバーともに販売の落ち込みにより、大幅に売り上げが落ちたという。

国内OS市場,クライアントPCは減少傾向,サーバはLinux市場が唯一プラス成長..(CNET Japan)

 クライアントPCでは唯一ネットブックが出荷台数を増やしたが、単価が小さいためにOS市場の伸びには繋がらなかったという。WindowsMacOSUNIXともに減少した中で、唯一Linuxだけが伸びを示しているのだという。というより、同じOSとはいえ、Linuxは元来有償のOSとはもともと発想が異なっているせいではないかと思われれる。


 そもそも、Linuxは他のOSのように箱入りでライセンス販売をしているわけではない。有償の箱入りLinuxもいまだにあることはあるのだろうが、それだけで利益が出ているとは思えない。多くはPCサーバーにインストール済みで、OSの販売というよりサーバーサポートの一環といえるだろう。本来オープンソースであるLinux有償にして利益を出そうとする考え方には無理がある。それならば、PCサーバー設置、運用のサポートの一環、あるいはサーバーをホスティングにしてその対価を取るという形になる。逆に言えば、サーバーのハードウェアへのサポートは頼んでもOSは自前にしてしまうならば、OSのコストはゼロにしてしまうこともLinuxでは可能になるわけだ。さらにLinuxにはサーバーから自前で設置してしまっているケースが数限りなく存在するだろう。これらは決して市場の数値としては現れないものである。


 Linux市場は「サブスクリプションモデル」の定着があるとのことだが、究極のサブスクリプションクラウドサービスである。Amazon EC2の従量課金制のようなものである。クラウドの中で1つのOSの価格などということさえ意味がないようにも思う。それは仮想化されてクラウド上ではインスタンスとして生成消滅しているだけだからである。クラウドの課金は場所代のなのであってOSの価格ではないからである。サポートの意味合いも変わってきている。


 今後はプライベート・クラウドのサービスも出現してくるだろうが、そこでもOSだけの価格というのはあまり意味のない、あるいはカウントされないものになってくるだろう。OS市場といっても、クラウド上で仮想化されたOSの数を数えること自体、意味のないものになってくるのではないだろうか。