GoogleはTwitterを買収するべき?

 まだGoogleTwitterを買収するべきだ、などという議論があるのだろうか。もうとっくに数年前に終わった話かと思っていたが、買収するべきという識者と買収できないとする識者と、いまだにいるようだ。

GoogleはTwitterを買収するべきだ――しないだろうが(ITmedia)
Google、新SNSサービス「Google Me」でFacebookに対抗?(6.29)

 最近の議論は、FacebookGoogleを抜くだけの勢いのトラフィック量を示し、SNSのジャンルでは独走しつつあるだけに、これにGoogleが対抗するためには、一応SNSのジャンルの?Twitterを買収するべきだというものである。またTwitterGoogle得意のネット広告に最も効果が期待されるからである。


 ところでGoogleにとってTwitterは、昨年のシュワルツCEOの「Twitterは貧乏人の電子メールシステム」の迷言?の頃に買収話は終わっていたようにも思える。決してTwitterを軽視した発言ではなかっただろうが、当時としてはTwitterは成功したシステムではあるが、どこまでやれるものかお手並み拝見というところではなかったか。ところがGoogleの予想以上にTwitterは人気を博し、黒字化にも成功した。その点がGoogleがかつて買収したYouTubeの事情とは異なる。Googleも慌てて?Google Buzzを公開したが、たとえGmail利用者であっても、Twitterの代わりに使うことはなさそうである。つまり、すでに機を逸したように見える。


 またFacebookに対抗するためにTwitterを取り込むというのも、話が違うように思える。単にトラッフィック量を増やすためではあるまいし、Googleの現在のWebサービスTwitterを組み合わせても、内容的にFacebookと競合するものにはなりえないだろう。また「Google Me」なるSNSサービスを立ち上げて、Facebookに対抗するという噂もある。仮にそれが実現したとしても、Twitterに対するGoogle Buzzのようにもなりかねない。すでに大きくFacebookに傾いている流れを、これからまともにそれを逆転できそうにはない。


 GoogleTwitterを買収すべき、などという議論には、Googleがネットの中心でなければならないという暗黙の意識があるような気がしてならない。しかし、健全な競争がある方がネットの進歩にとってはよいものと思える。それは同じジャンルで潰し合いをするような競争ではなく、互いに別の観点からのネットサービスを進めていけばよいだろう。そしてユーザは異なるネットサービスを自分の目的に合わせて、うまく組み合わせていけばよいだけである。