斎藤佑樹の早稲田が優勝(東京六大学野球)

 早稲田の出身でも慶応の出身でもないが、珍しく最後の優勝決定戦で盛り上がった早慶戦であった。なんと同じ時期でのプロ野球の日本シリーズよりも観客数が多かったという。

佑ちゃん、有終の美!早大が優勝/東京六大学(SANSPO.COM) 
半世紀ぶり早慶決戦に感慨/東京六大学
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 なんといっても注目は元ハンカチ王子こと、早稲田の斎藤が大学最後のシーズンで有終の美を飾れるかどうかというところである。甲子園以来、人気面では絶大で六大学野球の人気も押し上げてきたといえるだろう。先日のドラフト会議では斎藤を含む早稲田の3投手が1位指名を受け、斎藤は北海道日本ハムの指名が決まっていた。ところがその3投手をもってしても慶応に苦戦し、あと1勝で優勝というところで2連敗で勝ち点を奪われ、ついに50年ぶりとなる早慶戦による優勝決定戦となっていた。しかしいかに追い込まれようとも、土壇場には「何かを持っている」と思われている斎藤が試合中盤までは好投して、終盤は打ち込まれたものの、早稲田はなんとか逃げ切り、斎藤は大学時代の最後のシーズンを優勝で飾ることができた。やはり何かドラマを見せてくれるような存在ではある。


 その斎藤の大学時代だが、4年間で30勝を挙げたとはいえ、1年時の勢いを考えれば、2年時以降は伸び悩んだように見えてしまう。特に4年時の今年は最終戦もそうだったが打ち込まれる場面が目立ったようだ。日米大学野球では満塁ホームランを打たれ、先日の東大戦でも敗戦投手になったりもした。プロの評価も大学時代後半はどうだっただろうか。昔であれば人気も実力もある選手といえば巨人から真っ先に指名に行っていたものだが、今回は早々と斎藤指名は避けていたようだ。「もし今シーズン巨人が優勝していたら斎藤を指名していた」という話もあるが、裏を返せば優勝できなかったから、人気よりも来年の補強のために実力派を指名したともいえるが、信憑性は乏しい。


 斎藤を指名した4球団は実力もさることながら、やはり人気面を重視したともいえよう。しかしながら斎藤にはプロに行ったら、ゼロから這い上がってほしい。プロに斎藤を開花させる指導者がいることを期待したい。決して剛速球投手タイプではないが、体格面、投球術からいえば桑田タイプの投手になることを期待したい。そういえば野村監督は楽天田中にも桑田タイプを目指せと言っていた。それはむしろ斎藤が近い気がしている。早稲田の大学院にも在籍した桑田が指導できればいいのだろうが、そうもいくまい。


 巨人に指名された澤村は、大学での監督がなんと東映、巨人で活躍した高橋善正だった。元巨人の槙原よりも昔の「完全試合男」である。巨人コーチ時代には入団したばかりの槙原を指導したこともあるという。この監督のおかげで高校時代は無名だった澤村は、巨人から1位指名を受けるだけの剛速球投手になった。本人の才能はもちろんだが、それを引き出すのも出せないのも指導者次第のように思える。斎藤にはプロでの指導者に恵まれ、ぜひ桑田のような「プロ中のプロ」と言われるだけのクレバーな投手に成長してほしい。