白鵬の連勝記録63で止まる

 双葉山の69連勝の大記録を破るかと思われた横綱白鵬の連勝が止まった。とはいえ、63連勝は千代の富士の53連勝を10勝も上回るだけに十分な大記録だろう。

白鵬、稀勢の里に敗れる!連勝は63でストップ(SANSPO.COM)
白鵬、海外メディアも伝える/九州場所
【白鵬トーク】「流れでスキがあった」

 相撲を見ることはほとんどないが、スポーツ紙でざっと現在の状況を知ることはある。最近は不祥事の報道ばかりで、肝心の相撲の取組で盛り上がることが少ない。朝青龍もおかしな形で引退されられ、白鵬の一人横綱になってから、唯一話題となってきたのが双葉山の69連勝を超えるかかということだった。


 白鵬が安定していることもさることながら、対抗できるだけの相手がいないというのが実情だったろう。特に大関以上の日本人は大ベテランの魁皇だけである。こうなると連勝ストップに意気込むといえば、下位の力士の番狂わせだけになる。実際、連勝を止めた稀勢里を白鵬はやや苦手としていたようだが、番付的には番狂わせだった。優勝がかかった一番だったら気合いの入り方が違うから、今回のような番狂わせは起きなかったかもしれない。


 白鵬の記録は偉大な記録であることは間違いはないのだが、千代の富士の時は横綱大関のライバルも多かった中での記録だった。実際記録を止めたのも千秋楽での一番での横綱大乃国だった。ライバルとの激闘の中でこそ、記録も記憶も強烈に映る。本人のせいではないが、白鵬にはライバルがいないというのが現実ではあるだろう。まだ朝青龍が残っていた方がよかった。こちらは大鵬の持つ優勝回数31回超えに挑戦していただろう。変な「横綱の品格」をめぐる横綱審議会の場外乱闘は、相撲を幻滅させるものだった。


 つまらないナショナリズムを主張するつもりはないが、やはり「国技」を標榜するのに、日本人の横綱大関が出現しないというのはなんとも脱力である。日本人そのものが相撲への関心が薄れた結果、相撲を目指す有望な若者も減少したということだろうか。最近では有名親方が地方を回って直接スカウトに出向いても、なかなか弟子が集まらないというのが実情らしい。勢い、外国人をスカウトになることになるのだろう。実際、番付を見て驚いたのだが、横綱大関どころか、平幕力士からして外国人だらけになっている。


 相撲人気ということでは、もともと力士は各県出身の「郷土力士」というのがベースだったはずである。それが巡業にもつながっていた。最近はそういう結びつきも希薄になっているようである。サッカーのJリーグや最近では野球でも、地域密着が人気を維持するためのベースになっているが、相撲では逆にそれが失われつつある。それが結局、日本人横綱が出現しない遠因となっていると思える。


 白鵬のしこ名の由来は柏戸大鵬なのだそうである。さすがに「柏鵬」では恐れ多いということで「白鵬」になったのだという。さて、白鵬の連勝記録が止まった後は、相撲界では何が話題となってくるのだろうか。