人間の脳ははるかに複雑

 人間の脳は予想されていたよりはるかに複雑という、昔からの認識を追認することになったのか。スタンフォード大の研究チームがマウスの脳で、脳の複雑さは想像をはるかに超えていることがわかったという。

人間の脳、地球上の全コンピュータより多くのスイッチを持つ-スタンフォード..(CNET Japan)

 ニューラルネットワークは脳神経のモデルとされてきたが、それに慣れてくると、あたかも脳はニューラルネットなのだと安易な誤解をする向きも出てくる。いわく、ニューロンのオン/オフだけなのだから、それはデジタルコンピュータと同じだというものである。しかるに当然ながら、脳≒デジタルコンピュータではない。ニューラルネットでは、まだまだ1つのシナプスも再現できていないのではないか。


 ニューロンのスイッチ効果よりも本質的なのはシナプスの結合だろう。そしてシナプスは柔軟に記録を保持し学習効果を持ってくる。ニューロンそのものオン/オフはシナプスの結合パターンによる結果に過ぎない。1つのシナプスでスイッチにあたる機能をが000個程度だから、これは1個の脳だけで地球上にあるすべてのコンピュータやルータ、そしてインターネット接続よりも多いという。モデルとして簡素化されたニューラルネットよりは、はるかに複雑な構造をしているのだろう。あらためてそのことを実証したような形だ。


 人間の脳神経は膨大だが、実際にどれだけの部分が使われているかは見当もつかない。かなり冗長なシステムである可能性もある。老化は脳細胞の死滅から始まるとも聞くが、何パーセントが活性化していれば人間は生きていられるのか、わからない。どれだけコンピュータが進歩しても、脳はいつまでも神秘性をもったままのようだ。