今年出現したマルウェアは2000万種

 いつも誰が何のためにと思えるマルウェアが、今年出現したものだけでも2000万種類に達しているという。ネットでのアクスが増えれば、それを狙ったマルウェアも増えることは当然の成り行きなのだろうか。

今年出現のマルウェアが2000万に 量産態勢強化か(ITmedia)

 ただ傾向としては、新種の出現は大幅に減り、亜種が多く出現しているという。その亜種も寿命が短いものになっているという。単独の人間や組織ですべてを作っているわけではないが、全体的な傾向な流行が表れるようだ。昔はスバイウェアはマルウェアとはみなされなかった。クロスサイトスクリプティングも何か特別なものだった。何より「Webのページを見ただけでは感染しない」などと言われていた。


 現在では、これらのことを組み合わせた多種多様のマルウェアが日々出現している。そもそもマルウェアという言葉そのものが、ウイルスとかワームとかスパイウェアなどを組み合わせたものの総称として使われるようになったことが、複雑化していることの表れである。


 マルウェアの亜種というのは、セキュリティソフトが対応したマルウェアにその対策が効かないように修正したものや、別のマルウェアと互いに「悪いところ取り」して、遺伝子のように組み換えさせたものだろう。すでに出現したマルウェアは数知れずあるので、これらの組み合わせも数限りなく可能になるだろう。こうした状況が多くの亜種を生み出す要因であり、全く新種のウイルスを作り出すより容易にできるからだろう。


 かつてウイルスの存在が世間的にも一般的になった頃(朝日新聞の一面に初めて「コンピュータウイルス」という言葉が載ったことを記憶している)、これからはコンピュータとウイルスは共存していくしかないだろう、という意識を持ち始めたが、ネットの発達によってウイルスからマルウェアへの進化も加速されてしまった。現実的には、もはやセキュリティソフトによる「水際対策」は物理的、時間的に、原理的に追いつかない情勢になりつつあるだろう。


 となると、クラウド時代には、クライアント側でマルウェア対策をするような発想ではなくなるだろう。マルウェア対策が必要となるファイル、アプリケーションは、すべてクラウド側のサーバーに置かれるということしかないのかもしれない。