「radiko」が本格スタートへ

 試験運用してみたら、予想以上の反響があったネットラジオというべきradiko.jpが11月いっぱいで試験運用が終了し、12月から会社化(株式会社radiko)し、正式運用を開始する。

「ラジオ復活を」好調radikoが会社化、名古屋など..(ITmedia)
「radiko」本格実用化に向け新会社設立、北海道・名古屋・福岡にも..(INTERNET Watch)

 ラジオといえば、テレビよりもずっと古いメディアである。歴史を紐解いてみると、1920年にアメリカのピッツバークで試験放送されたのが最初で、日本でも1922年(大正11年)に試験放送を行ったとされる。翌1923年に関東大震災が起こり、ラジオ放送の必要性が認識されたのだという。緊急時にラジオは役に立つという認識はこの頃からあった。1924年から本放送が始まり、これが日本放送協会(その後NHK)の始まりでもある。終戦時の玉音放送もラジオだった。


 時代は変わり、テレビからネットの登場とともに、音声だけのメディアであるラジオはますます日陰的な存在となっていった。しかし根強いリスナーが存在していたことも確かだろう。テレビと違って音だけ聞いて「ながら」ができるメリットもあるからである。運転しながら聴くには最適というのはその典型例だろう。


 ラジオが人気や話題面で厳しい立場に追いやられたのは、ある意味当然なことだったが、双方向メディアであるネットにラジオのコンテンツを流したらどうかというのは、以前から考えられていたことだろう。音楽のようなものは技術的なことよい著作権問題がうるさそうだからともかく、NHKの語学講座だとかネットを見ながらでも聞ける有用なものは多くあるような気はしていた。


 そしてradiko.jpの放送をしてみたら、大きな反響があったという。当たり前のことだったが、何しろ雑音の入らない放送である。自分もそうだが学生時代以来、あまりラジオを聞くことのなかったような人まで、見事に関心を取り戻したしたようだ。必ずしもラジオがつまらなくなってラジオから離れたわけでなく、周囲の情勢がラジオにスイッチを入れたり持ち歩くことがなくなっていた。


 ネットとラジオの結びつきというのは、古い産業がネットによって復活するというビジネスモデルの1つのようにとらえることができるかもしれない。面白いのは、リスナーからのリクエストやご意見を紹介するパターンはよくあるが、今後はTwitterSNSと連携していくということである。何日も前に投函された葉書である必要はなく、リアルタイムでレスポンスが現れる、まさにライブになる可能性がある。Ustreamなどを使えば、ラジオのスタジオも中継できてしまい「ラジオを見る」ことも可能になる。そうなるとラジオといっても、環境的にはほとんどテレビと差がなくなることになる。テレビほど製作費がかからないし、これはラジオにチャンスが広がることでもある。ネットで復活した典型例として成功してほしいものだ。