早くもChrome OSへの批判
ようやくGoogleから発表されたChrome OSだが、批判も多いようだ。もっと早い時期に出ていれば、また違った反響だったかもしれない。やはり今に至っては、という意識が強いのかもしれない。
Chrome OSは「来年消える」「不注意なコンピューティング」(ITmedia) Chrome OSとAndroid、一本化しなければ共倒れに?(2009.,11.27)
1つは以前から指摘されていたことで、Androidとの関係である。将来的にはAndroidと統合されるかもしれないと予測している向きもあった。ただ統合されるとしたら、当然後から出てくるChrome OSの方に統合される方が自然のはずである。しかしこの1年の間にAndroidの方はiPhoneを追撃する一番手としての実績を挙げてきており、まだ何の実績もないChrome OSに統合させるのは考えにくい。とすればAndroidの方に統合されるのではないかということになる。それは実質、Chrome OSが消え去ることではないのか。
Androidはスマートフォン用、Chrome OSはネットブック用というのが当初の棲み分けのイメージだったはずである。ところがこの1年の間に、iPadによって急速にタブレットPCの市場が立ち上がる。ちょうどスマートフォンとネットブックの中間のようなコンセプトのデバイスであり、iPadがiPhoneと同じOSを採用していることもあって、同じようにAndroidもタブレットPC用に向かうことになる。またタブレットPC市場の立ち上がりもあって、ネットブックのブームは去りつつある。Chrome OSもタブレットPC用にも対応したいとろだが、そこでAndroidとぶつかってしまう。そうなると実績のないChrome OSは分が悪いことになる。AndroidかChrome OSかで、Googleも混乱をきたしているのではないかとも思えてしまう。
もう1つの批判は、なんとFSFのストールマン氏のものだという。Chrome OSはクラウドに接続して使うこと前提とする。そこではローカルにはデータが保存されない。そうなればユーザ自身がデータをコントロールできないことになる。これは人々を「不注意なコンピューティング」に導いてしまうものだという。ただこれはChrome OSに対する批判というより、クラウドそのものに対する批判のように思える。「データを手元に置くのが安全か」「クラウドに置く方が安全か」の、いつもの議論である。クラウドの大元であるGoogleだけに、その「クラウド端末」であるChrome OSだけを批判しても仕方がないだろう。