IPv6の大規模試験「World IPv6 Day」

 枯渇する、する、と言われ続けてきたIPv4アドレスが本当に枯渇するXデーが近付いている。2011年と予測されていたが、Xデーは次第に早まり、現時点では2月19日にはその日を迎えることになりそうだ。あと1ヶ月ほどしかない。そんな中、世界規模のIPv6試験が6月8日に行われるという。

IPv6の大規模試験「World IPv6 Day」を6月8日実施...(INTERNET Watch)
IPv4枯渇時計(IANA)

 先進国はまだしも、人口の多い中国やインドおよび開発途上国の急速なネットユーザの増加を考えれば、「たった」43億個余りしかないIPv4アドレスでは、枯渇時期もどんどん早まってきたといえるだろう。その代替とせざるをえないIPv6の普及状況はどうなのか、一般ユーザにはわかりにくいというか、そもそもあまり関心となっていないといえるだろう。仮にIPv6に変わったとしても、クライアント側のネットワークの設定がIPv6のメニューを選択するなど変わるだろうが、それでネットへのアクセスの速度とか内容が画期的に進歩するというものではないからだ。


 世界的なIPv6への移行を推進するために、現在ネットに最も影響力があるGoogleFacebookも実験に参加するという。Googlegoogle.comやyoutube.comを一時的にIPv6に対応させるという。Facebookも同様かもしれない。ただしあくまで6月8日だけの実験のようで、その日からIPv6に切り替わるわけではない。世界的にIPv6が主流になるのは、まだ当分先になるかもしれない。


 となるとIPv4の枯渇時期が過ぎてから、どんな混乱が発生してくるかということである。枯渇といっても世界中のIPv4アドレスが一斉に1つも残りがなくなってしまうわけではない。あくまで世界で平均的にある新規アドレスの需要を満たすだけのアドレスがなくなるということであろう。IPv4アドレスは国ごとにその範囲が割り当てられているから、国によっても事情は異なるだろう。たとえば日本国内では「JPNICが逆引きの管理を行っているIPv4アドレス一覧」がそれに当たるだろう。つまり国によって、本当の枯渇時期は異なるということになる。IPマスカレード(NAPT)の利用によって、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを組み合わせることによって、少なくとも組織で利用するIPアドレスの数はだいぶ節約はできてきた。しかしそれ以上に、新規サイトの開設のためのグローバルIPアドレスの新規需要は伸び続けている。本当に割り当てるIPv4アドレスがなくなると、IPv6アドレスしか割り当てができない状況となる。そのとき外部のネットに対してスムースに接続できるのかという問題となる。既存のIPv4ネットワークとIPv6アドレスとの、変換や読み替えが必要となるかもしれない。


 初期の頃に多くのIPv4アドレスを確保した組織で、実際に利用していないアドレスを抱えているところもあるだろう。返却はしないだろうから、IPv6へ移行するまでの期限付きでアドレスの貸し出しを行うようなことも出てくるかもしれない。IPv4アドレスを利権のように扱うことはあってほしくはないが。