スティーブ・ジョブズ氏が再び療養休暇へ

 Appleスティーブ・ジョブズ氏が膵臓がんの克服以来、再び療養休暇に入るという。健康状態に関しては以前からいろいろな憶測はあったが、本人の健康問題とともにAppleの戦略の先行きが話題になってきそうだ。

Appleを復活させた「魔法使い」、ジョブス氏の休職(ITmedia)
Appleのスティーブ・ジョブズCEOが療養休暇入り
アップルCEOジョブズ氏、再び医療休暇へ(CNET Japan)

 ジョブズ氏がAppleに復帰してきてからは、iMacに始まり、iPodiPhone、そして昨年のiPadと立て続けてに成功させ、今やPC代替とモバイル市場を牽引してきているといえる。それ以前のWindowsに押されてMac市場がジリ貧状態だった15年ほど前を考えると、カリスマ的CEOの存在でこうも変わるものかと驚かされるほどである。仮にジョブズ氏が復帰していなかったら、Appleは過去に存在していた企業になっていたかもしれない。あのSunですら消滅したのだから、余計にそう思えるのである。


 まだ引退したわけではないから、今さらジョブズ氏の実績を語るまでもないが、一度は天下を取ったものの謀反にあって野に下ったが、再び巻き返して天下を取った戦国武将を連想させる。自分が最も好きだったのはNEXTSTEPの時代だった。NEXTSTEPは当時のGUIとしては洗練された高級感のあるものだった。しかも内部はBSD UNIXである。NEXTSTEPと比較すれば、WindowsMacGUIですらチープなものに見えてしまった記憶がある。Appleを追放されたジョブズ氏が当時のワークステーションで最先端を目指したものの成果であると思えた。そして復帰後の現在のMacOS Xは、このNEXTSTEPがベースである。だからこそ、WindowsLinuxとともにMacOSは生き延びていられると思っている。


 音楽プレーヤー、スマートフォンだけをとってみれば、iPodiPhoneに先行しているものはあるが、Appleほどブームを起こすことはできなかった。電子書籍リーダーとしてのiPadの出現も同様である。仮にジョブズ氏が今後表から消えることになっても、Appleが今後同じようにブームを起こすことが可能かどうかである。


 同世代といえるビル・ゲイツも、Sunの設立者だったビル・ジョイなどもすでに引退している。この世代で現役なのはジョブズ氏だけといってもいいかもしれない。引退したとしても不思議ではないのだが、Appleの歩んできた道を見ると、今のところジョブズ氏不在のAppleの姿は考えにくいことは確かである。