山形県がOpenOffice.orgを全庁導入へ

 地方自治体で早くからOpenOffice.orgを導入といえば会津若松市が有名だったが、今度は県庁の全パソコンに導入する県がある。会津若松市のある福島県かと思いきや、お隣りの山形県の話である。都道府県単位では初めてのことである。

山形県がOpenOffice.orgを県庁の全パソコンに導入へ..(ITpro)
自治体に広がるOpenOffice.org(2010.8.24)
Oracle、クラウド版Open Office「Oracle Cloud Office」..(ITmedia 2010.12.16)

 結局、Windows XP/Office XPのままで運用してきたがとうとうサポートも切れる。新たなバージョンを導入するにはコストをかけたくないという予算上の都合がある。現在は全国のどこの自治体も財政赤字に悩み、コスト削減は至上命題である。システムの入れ替え時に、ハードの価格は下がっているからそれほど問題にならないが、それだけにOfficeのライセンス料は馬鹿にならないものとなっている。そのせいか、自治体で組織的に違法コピーがなされていたこともあった。そこまでいくと、もはや社会問題である。無償のOfficeOffice.orgは渡りに船にも思えるだろう。

 
  しかしOpenOffice.orgにしろ、決して「タダ」なのではなく「オープンソース」なのである。そこを理解して「自ら助くる者を助く」の精神でお役所仕事にも利用してもらいたいものだ。「Microsoft Officeとは使い勝手が一部異なる」などと言っているのは論外だろう。むしろ公の仕事をするべき人達が、なぜ特定企業の製品ばかりをいつまでも使いたがるのか、ということの方が問題だろう。


 そういえば研修を提供するアシストという企業は、かつてDOS時代に「アシストカルク」や「アシストワード」という表計算ワープロソフトを出していたところである。特にアシストカルクはLotus1-2-3互換のようだったと記憶する。Lotus1-2-3が1ライセンス10万円もする時代だった。その頃、予算が付かないので、わずか数千円だった「アシストカルク」でも自分は普通の表計算には十分だと思い(なにしろ元はUNIX発である)人に勧めたり提案したりもしたが、やはり正規にPCが整備されているというステータスは、一太郎、Lotus1-2-3が導入されていることに思われていた時代である。それがMicrosoft Officeにとって代わられただけだった。それだけに昔はソフトの違法コピーも横行していた。今考えても、高いソフトの存在も違法コピーする側にとっても馬鹿げた時代だった。


 それより、ここ数年でもう時代も進んできている。Officeソフトの選択はすでにたいした問題ではなく、自治体クラウドをどういう形に持っていくかが、はるかに大きな問題になっている。クラウド上でGoogle DocsやOffice Web Appsなどをうまく活かすことが重要である。そういえばとGoogleMicrosoftに対抗して、 OracleもOpenOffice.orgをWeb化する(Oracle Cloud Office)としている。クラウド化による業務効率化、コスト削減、セキュリティ対策を考えるべき時期にきているのである。