NECとLenovoが国内PC事業統合へ

 NECLenovoがPC事業で合弁会社設立して、国内PC事業統合をはかるという。国内では最大規模のPC事業グループとなりそうだが、一昔、いや二昔ほどを考えれば、ずいぶんとPC販売の情勢も変わったものだと思える。

NECとLenovo、国内PC事業を統合 合弁会社設立、国内最大..(ITmedia)
NECとレノボ、パソコン事業合弁の理由(ITpro 1.28)

 国内のPCの黎明期といえば、もう20年以上まで遡るNECPC-98シリーズによるものである。IBM PC互換が標準の国際市場とは異なる、日本語化に関連した独自アーキテクチャで国内市場を独占したものである。今で言えば、PCのガラパゴス化によって国内市場を独占しえたといえるだろうか。しかし1990年代になると、日本語表示はDOS/Vの仕組みでIBM PC互換機でも可能になり、国内市場に入り込めるようになった。事実上、PC-98による鎖国は破れ、国際標準化、自由化が進むことになる。そのきっかけとなったのが「Compaq旋風」といわれたものだった。そのCompaqも今はHPに吸収されて存在しない。PC-98のシェアは下がり続け、ついにはPC-98自身もIBM PC互換のアーキテクチャに転換することになった。こうしてNECも、数あるx86 PCメーカーの1つにしか過ぎなくなったのである。


 さて、Macintoshは別として、いわゆるPCの名前がつくパソコンの老舗メーカーはIBMであった。IBM純正といえばやや高価で高級感があった。自作の組み立て機まである互換機とはキーボード1つとっても、作りが違うように思えたものである。


 ところがPCのハードウェアは性能が向上しながらどんどん価格が下がっていき、まさに薄利多売の儲からない商品になっていった。IBMのような本来お金持ち企業を顧客にするような企業が、あまたあるPCメーカーと質を落としてまで安売り合戦をしても意味がなくなってきたのだろう。PC部門中国籍企業のLenovoに売却してしまった。いかにPCのハードウェアで利益が出なくなったからとはいえ、自由主義国である米国のIBM共産主義国の中国に、PC部門を譲り渡してしまうことだけでも衝撃的でもあった。


 国内では単なるPCメーカーの1つに落ち込んだNECと、IBMのPC部門を吸収したLenovoとの国内での合弁となると、これまでの経緯からするとLenovoが今度は日本への本格進出をしようとしているように見えてしまう。NECからすればLenovoの力を借りて、今一度PCの国内シェア1位に返り咲きたいところかもしれないが、果たしてどうか。


 さて合弁となった後には、商品のラインアップはどうなるか。これまでのNECLenovoブランドの製品はそのままとしても、今後出てくるタブレットPCやサーバー分野で新しいブランド名で出してくることになるかもしれない。