IANAのIPv4アドレス在庫がついに尽きる

 とうとうIPv4アドレス枯渇のカウントダウンがゼロになる日が来たようだ。新規のIPv4を割り当てる中央の組織であるIANA(Internet Assigned Numbers Authority)によって最終ブロックの割り当てが始まった。世界に5つある地域の組織であるRIR(Regional Internet Registry)に分配すれば、それで在庫がなくなることになる。

[速報]IPv4アドレスの自由在庫がついに尽きる(ITpro)
IPv4アドレスの中央在庫尽きる(ITmedia)
Geekなぺーじ:IPv4アドレス枯渇 その意味と..(毎日jp)

 日本も所属するRIRであるAPNIC(Asia-Pacific Network Information Centre)の在庫も今年の後半にはなくなる見通しだという。何しろこの地域には人口も多く急成長を遂げている中国やインドも存在する。平等に分配されれば、あっという間になくなってしまうようなものだろう。なくなるというのは正確な表現ではないが、新規割り当て分はなくなることには違いがない。


 問題はなくなった後に何が起こるかである。自然消滅していくものではなく、一度配布されたものはずっと使い続けられるはずだから、住宅に例えれば新規分譲がなくなって、細々と中古住宅の取引だけが存在するようになるようなものだろう。あとは既存の組織内のIPv4アドレスの体系の中でやりくりしていくしかない。初期の頃にクラスAのIPv4アドレス範囲を獲得して、使用していないIPv4アドレスを持っているところもあるかもしれない。返却することはないだろうから、一定期間IPv4アドレスを貸し出すようなことはあるかもしれない。


 ずっと言われ続けているIPv6への移行だが、これはIPv4アドレスの枯渇と必ずしも連動するものではないという。今日でIPv4はなくなりましたから、明日からはIPv6に切り替えますというわけにはいかない。何月何日から、アナログテレビが終了して一斉に地デジへ移行しますというようなわけにはいかない。それが可能ならとっくに移行できていたはずである。どちらかといえば、IPv6への移行は世界的に「笛吹けども踊らず」の状態ではなかったか。


 しかしここにきて、もう後はなくなった。新規IPアドレスを増やす方策としては、好むと好まざるとに拘わらずIPv6への移行しか選択肢がないのが実情である。当面は互換性がないIPv4ネットワークとIPv6ネットワークが共存し、その間をゲートウェイのように繋ぐような運用しかないだろう。ネットの中が、いわばパラレルワールドになっているようなものである。実際「IPアドレスって何?」というような末端ユーザにとっては、ほとんど意識しなくてもインターネットを使い続けることはできるだろうが、舞台裏の運用する側は管理が複雑化していきそうである。IPv6ネットワークだけでスムーズにネット利用ができる日は、いつになるのだろうか。