「パーソナルクラウド」デバイス「Pogoplug」が国内販売
クラウドもなかなかイメージしにくいが、大別すると「パブリッククラウド」、「プライベートクラウド」、「パーソナルクラウド」の3つがありうるようでである。昔のコンピュータの分類にたとえると「メインフレーム」「ワークステーション」「パーソナルコンピュータ」といったところだろうか。パーソナルクラウドのを実現には、ローカルのストレージの存在が必要なものとなりそうだ。Cloud Enginesが「Pogoplug」というクラウド接続のためのデバイスを発売している。
パーソナルクラウドを実現する「Pogoplug」..(INTERNET Watch) Cloud Engines、パーソナルクラウドデバイス..(PC Watch)
これはUSB接続されたHDDに「Pogoplug」をアダプタとして接続すれば、Cloud Enginesのサーバーを介して、どこからでも自前のストレージとなるHDDにクラウドサービスのようにアクセスできるというものである。「Pogoplug」は9800円程度で販売されるというから、TB容量のHDDと合わせて2〜3万円で「パーソナルクラウド」環境が出来上がりとなりそうだ。
もっとも一口にクラウドと言っても、クラウドによって何をサービスするのかによって、その概念も少しずつ変わってくるようだ。Google、Amazon、Microsoftなどのいわゆるパブリッククラウドでも、GoogleがGoogle AppsのようなWebサービス中心であるのに対し、AmazonはEC2/S3でOSからWebアプリの開発環境からストレージまでインフラそのものを提供するものである。プライベートクラウドではクラウドベンダーにすべて依存したくない企業が独自にインフラを持つかデータセンターを活用しながら、Amazonのようなクラウドを自前の環境で構築する。IBMやSalesforceなどのサービスはこれに近い。物理的にデータを手元(自組織の管理下)に置けるという点が、パブリッククラウドとの最大の違いといえるだろう。コスト削減のためとはいえ、企業の内部データを「雲の上」に置いてしまうのは、セキュリティ上の不安や心理的抵抗感であるからである。
個人利用には、インフラ的に必然的にパブリッククラウドしか選択肢はないことになる。しかしやはりデータは手元に置きたいという場合もありうる。こうしたケースで対外的にはパブリッククラウドを利用しつつ、データのバックアップはパーソナルクラウドのストレージに常にしておくという利用は考えられるかもしれない。USB HDDの大容量化、低価格化を利用するならではである。万が一、ネット接続が不可能になるトラブルに見舞われても、クラウドストレージにしてあるHDDにローカルでアクセスできるからである。
ただこのパーソナルクラウドを利用するには、必ずCloud Enginesのサーバーを経由しなければならない点が、ボトルネックになりそうな気はする。同じように自宅PCをクラウドストレージにするServermanというものも出ており、今後まだまだパブリッククラウドの隙間を狙ったクラウドサービスは出てきそうである。