パッケージ版ソフトウェアは消えるか

 これはAppleならずとも自然の流れかもしれない。パッケージソフトウェアの販売はなくなるかもしれない。分厚い紙の書籍のマニュアルはすでになくなっているが、ソフトウェアを配布するためのDVD/CDも不要だというわけだ。

アップル、パッケージ版ソフトウェアの販売廃止を計画か(CNET Japan)

 供給元ばかりでなく、末端の小売店舗でさえ、パッケージ版ソフトを置いておくスペースは無駄だというわけである。代わりに関連したグッズなどを置いた方が、さらに売上げが期待できるというわけだ。ひと昔前なら、現物がなくて、
どうして商売が成り立つのかと思われそうなところだ。


 しかしネットが普及してきて、ソフトウェアも簡単にダウンロードしてインストールしたり更新したりするのが、日常的に当たり前になった。PCのセットアップ時だけはソフトウェアの箱が必要、という必然性もすでになくなっている。それにネットブック登場以来、DVDのドライブさえも必ずしも内蔵しなくなった。昔のFDDのドライブがPCから消えたのと同様のことである。実際すでにソフトウェアはDVDのパッケージ販売ばかりでなく、ダウンロード販売も併用されるようになっている。そろそろパッケージ販売は廃止しても問題はないのではないか、というところである。


 そもそもDVDは今はBlu-rayだなどと言っているが、PCやソフトの世界には関係がない。それ以上の容量のHDDが安く高速で利用できるし、ネットワーク上の大容量のストレージサービスも自由に使える。オフラインのDVDにはほとんど魅力がないのである。たまに雑誌の付録のDVDに面白そうなソフトウェアが収録されていても、DVDは使わずに記事を手がかりにして本家サイトからダウンロードしたソフトウェアをインストールしたりする。DVDを取り出してセットするのさえ億劫だったり、実際そちらの方がすでに最新版だったりすることもあるからである。


 DVDの必要性があるとすれば、それは最初のブートの時である。HDDに何も入っていないか、別のOSを入れ替えたい時に一昔前のPCならばDVD/CDブートするしかないからである。それより前はFDブートであり、FDがこの時だけは必要になった。FDが意外に延命したのもこのためであろう。DVDもPCの世界ではそれと同じ立場なのである。Linuxでブートさせるために、ISOイメージでダウンロードしたファイルをDVD/CDに一度焼いて、それでブートさせてからHDDにインストールするということになる。それ以外にも出来なくはないだろうが、今のところ最もわかりやすい方法だからである。


 真っ先にAppleが新しい方針で動けば、他のソフトウェアベンダーも追従する可能性は十分あるだろう。そうなれば、あっという間にPCショップや電器店からパッケージソフトが姿を消すことになるかもしれない。昔からPCを使っていた人からすると、ややまごつくかもしれない。販売店側もPC関連の販売面積が大幅に減少することになる。それはそれで困ったことになるかもしれない。Applとしては、App Storeで独占的にMac関連のソフトウェアを、ダウンロードによって集中して販売できるようになるメリットがあるとの読みだろうか。