Amazonがついに日本にデータセンターを設立

 これは国内のクラウド普及にとっては、大きな影響を与えそうだ。以前から噂があったAmazonクラウドのアジアの拠点の1つになるデータセンターが、ついに日本に開設されたことが発表になった。あくまで秘密裏に進められたようで、東京近郊であるようだが住所は明らかにされていないという。

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 世界で5番目となるAmazonのデータセンターは「東京リージョン」として設立されたという。設立といっても、おそらく既存の複数のデータセンターと提携する形で、間借りしているものと思われる。物理的な設備投資も最低限で済むはずである。それも地理的に密集した日本のIT環境ならではだろう。アジアの拠点の1つではあるが、実質的には日本市場に的を絞ったデータセンターであるようだ。日本語化、日本円での決済など国内でのAmazonクラウド利用の敷居は低くなった。物理的には、日本国内からのデータ転送の遅延である「レイテンシー」の問題が解決される。


 しかしユーザ側にとってのクラウド導入の動機になる最大のメリットは、多分に心理的なものになるのではないか。これまでクラウドにデータを預けることに抵抗があったといえる。データが海外のどこかのサーバーに保存されていると言われても、セキュリティ、情報漏洩は大丈夫なのかという経営者側の不安が払拭できなかったからである。誰がその責任を取るのかというわけである。ところが国内にデータセンターができたことにより、どのサーバーに保存されているとは言えないまでも、少なくとも国内のAmazonクラウドのサーバーに保管されているという安心感が得られるだろう。いざというときは、国内のAmazonのサポートに問い合わせることができるというわけである。


 現在は、国内の企業もクラウドと称するサービスを提供しつつあるあるだけに、これでクラウド導入の競争が激化してくるだろう。ユーザ側にとっては選択肢が増えて望ましいことである。どちらかといえば、資金の乏しい中小企業やベンチャー企業にとってはチャンスが広がることを期待したい。