みずほ銀行のシステム障害

 自分もみずほ銀行に第一勧業銀行時代から口座を持っているだけに、これは本当にあきれた話である。地震で何か大きな被害を受けたのならばともかく、通常のオンラインシステムがこれだけ脆弱では、時代遅れのシステムを抱えているのではないかと疑ってしまう。何やら東京電力と似たような体質も感じてしまう。

みずほシステム障害 復旧のめど立たず、個人や企業に打撃(MSN産経)
みずほ障害、「給料までとは…」「他の銀行は動いているのに」..
みずほ銀行トラブル、発端は人為的ミスの可能性(ITpro)

 地方銀行などのオンラインシステムは、IBMなどにアウトソーシングしてしまっていて、このようなトラブルは起きない。みずほ銀行の場合には、何年か前の銀行合併で、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行のそれぞれのオンラインシステムを統合したのだが、最初から何か無理があった。もともとのそれぞれのシステムが異質なものだったので、短期間でそれらを統合化するのは難しく、おそらくそれぞれのデータを変換しながらやりとりしていたのではないかと推測する。3社それぞれの技術者が統合のために参加したが、おそらく全体を理解している人はいなかったか、あるいは理解するにはシステムが巨大化して複雑怪奇になり過ぎていたのかもしれない。案の定、統合最初からダウンする失態をおかしたのはよく記憶されている。当時の財務大臣だった塩爺に「そんなアホなことあるんかいな」と言われる始末だった。技術の問題というより、しっかりした基本設計がないままに、継ぎ接ぎのシステム(レガシーシステム)になってしまった可能性が高い。なんとかうまく動けば、結果オーライというというわけである。


 統合当初よりは、さすがに改善されたかと思いきや、今回のダウンを見ると本質的には変わっていないようである。全体を見渡せる人がいないから、どこにバグがあるのか、なかなか見つけ出せない。復旧のために3連休の間すべてのATMを停止して作業してでも、連休明けに確実に回復できるかどうかの目処が立っていないという。


 給与振込みなどの入金が処理しきれないという。震災直後に集中したからとか、義援金の振込みが多数で処理しきれなかったという説もあるそうだが、それは理由にならないだろう。それなら、みずほ銀行には安心して義援金の振込みはできなくなってしまう。単純に考えれば、本来3つのシステムが並列に並んだとすれば、処理能力は3倍になりそうだが、3つのシステムが直列に並んだとすれば、処理能力は1倍のままである。そこでもともと処理件数が3倍になっているわけだから、処理能力を超えてしまうことになる。それぞれの旧システムを引きずっている結果、それに似たことになっているのではないか。


 被災地救援、原発危機回避をはじめ、国難にあるといえる日本の国民の安全を守りきらなければならない時期だけに、みずほ銀行は危機感を持って社運を賭けて復旧するべきであろう。