見えない敵との総力戦

 大地震発生から10日が過ぎた。その深刻な2次災害といえる原発危機は、危機回避のための総力戦の様相を呈してきている。まだまだ予断を許さない状況だが、東電の作業員ばかりでなく、警視庁、自衛隊、消防隊の3者の特殊部隊が投入され、ぎりぎりの攻防が続いている。

「見えない敵との戦い」放水活動の消防隊員会見 (日本経済新聞)
東日本大震災:福島第1原発事故 3者で放水、冷却成果(毎日jp)
被曝覚悟の350メートル 消防隊見守る妻「日本の救世主に」(MSN産経)
放水活動の警視庁指揮官が心境語る「もう一度命じられれば、行く」

 本来指揮系統が違い、役割も異なる3者が同じ任務の目的で集結したのは見たことがない。それだけ「見えない敵」に対して、国の総力を挙げなければならない事態になっているということである。しかし、どの隊員も訓練されているとはいえ、命がけの凄い使命感である。こみ上げるものを感じざるをえない。


 CH47ヘリコプター、スーパーポンパー、ドイツのプツマイスター社製生コン圧送機(チェルノブイリで実績)、そしてガレキ撤去のために戦車も投入されるという。まさに戦場である。放射線の影響が周辺の食料や環境にも出はじめているだけに、なんとか作戦が成功することを祈るのみである。机上のことだけでなく、あらためて「国を守る」ということの意味を考えるきっかけとなるかもしれない。