災害発生時のIT系の危機対応

 まだ落ち着いて災害対策のことを論じる気にはなれないが、地震直後のことでいろいろ考えさせられたことはある。特にIT管理者として考えておくべきことが、LACのサイトにまとめられたものがある。案外、当たり前のことのように思えるが、その当たり前のことが日常的にはなかなかできていないのが現実だろうか。

ラック、「災害発生時の業務継続に私たちが行う.. (INTERNET Watch)
災害発生時の事業継続に私たちが行うべきこと(LAC)

 今回の震災のことで自分としても意識したことがいくつかある。1つはこれだけ「大きなセキュリティ」として考えれば、クラウドが安全だということである。自前のサーバーで運用していたところは、地震津波、あるいはその後の停電で、全く情報が消失あるいは遮断されてしまったのである。クラウドに情報を置いていれば、たとえ自前のサーバーが物理的に壊滅しても、情報の消失は避けられていたからである。これまでの意識のように、組織の外部にデータを預けることが不安などとは言っていられなかったというわけである。自前サーバーとクラウドを「タンス預金と銀行預金」のたとえで言えば、今回はタンス預金が災害で完全に失われたことを意味する。もっとも、「銀行預金」もみずほ銀行の体たらくを見れば、あまり良いたとえともいえないかもしれないが。


 もう1つは、Twitterでやたらとリツイート(RT)を要求するツイートが氾濫したことである。様子を眺めていると、悪意を持って煽りをしている人はごく一部で、多くの人は非常時だけに気が動転していたのか、「今すぐ〇〇が助けを求めています。なるべく広く拡散して下さい」という要求を信じて、リツイートしていた人が多かったように思う。日常Twitter他愛も無いつぶやきをしている人が、急に非常時になったら、冷静な判断ができなくなったのかもしれない。Twitterの便利さをなまじ知っているだけに、Twitterで人助けをと、むしろ善意で考えたのかもしれない。しかしこうなっては、むしろTwitterの良さは失われるような気がした。リアルタイム性は情報の質が問題だからである。


 逆に感心したのは、現地は停電しているのにも拘らず、地震直後の町の様子を歩きながらiPhoneからUstreamで現地中継していた人がいたことだった。Ustreamクラウドのようなものだから、スマートフォンクラウドの組合せが危機対応には強いことを実証していたようなものである。


 最終的には人の体制が問題であることは確かだが、咄嗟の場合の対応がどれだけ可能かどうかは、今後ネットを構成していく上で、改めて意識しなければならないことであろう。