有名人の義援金

 震災の義援金の寄付や募金が各界、各地域で行われているが、かつてない規模で広がっている。それだけ深刻な被害だったということの表れでもある。個人レベルでの寄付は額ではないというものの、やはり有名人の寄付の額は庶民では到底不可能なものなので気にはなる。ソフトバンク孫社長は個人だけで、なんと100億円プラス今後の役員報酬すべてを寄付するのだという。

ソフトバンク孫 正義氏、個人で100億円+..(INTERNET Watch)
最高裁裁判官有志が4200万円寄付(MSN産経)
ソフトバンク・孫社長が義援金100億円(SANSPO.COM)
イチロー、1億円寄付にはコメント控える(3.19)
遼、今シーズン賞金全額寄付!2億円目指す(3.30)

 税金対策かというやっかみはともかく、公共のインフラを提供するソフトバンクグループのイメージアップのためにも、あるいは今後のある種の投資と考えているかもしれないが、この人のレベルだと、ビル・ゲイツが資産の半分を寄付して慈善事業に専念しているような意味があるのかもしれない。


 各界の有名人が寄付した話は続々とある。最高裁裁判官が寄付したとは、匿名の個人レベルではともかく、あまり聞いたことのない話ではある。スポーツ界では、イチローが黙って1億円を寄付したことは、テレビでやたら「みんなで助け合いましょう」とアピールしている芸能人に比べて、すばらしい態度に思えた。それから石川遼が今シーズンの獲得賞金の全額寄付を宣言したことも、頭の下がることである。賞金の獲得を、あえて自分のため以外に設定することによって、より高いステージで自分のモチベーションを高めようとするのかもしれない。まだ若いだけに、これがさらなる飛躍の足掛かりとなってほしいものである。


 さてそんな時、国をリードするべき政治家はどうしているのだろうか。すべて税金で賄われている自分たちの議員報酬の一部または全部を義援金に回したという人の話は聞こえてこない。それどころか、復興に莫大な予算がかかるだろうからと、早くも「増税」の話を持ち出している。国民が自ら義援金を寄付したり募金に協力しているときに、何か水を差すような話で、腹立だしささえ感じる。そして何やら復興を口実に「大連立」を匂わせている。この期に及んでも、結局は自分たちの権力闘争ばかりである。放射能汚染の懸念、経済危機の懸念もある事態であるのに、最も危機感がないのは日本の政治家ではないか。