Linuxが20周年

 Linuxが今夏でもう20周年を迎える。10年一昔とすればもう2昔前、ネットの進歩はドッグイヤーと呼ばれたから、ネットとともに進歩してきたLinuxは実質的にはそれ以上の時間の歴史を歩んできたといえる。

Linuxが今年20周年 記念動画コンテストも(ITmedia)

 20年前といえば1991年、国内ではDOS/Vと言われるOSが出現して、日本語化がネックだった国際標準のPCがようやく普及するきっかけとなった頃である。現在ではDOS/Vの名前が残っているのは「DOS/V Power Repot」という雑誌名くらいだろうか。他は雑誌もすでに休刊となっている。


 この時点ではPCで動くUNIXは教育用とされたMINIX、BSD4.4をベースとした、x86 PCでも動く(はずの)ソースコードくらいだったように記憶する。後者はFreeBSDNetBSDの元になったと思われる。LinuxMINIXにエクスパイアされて、Linus Torvalds氏によって1からコード書かれたが、どちらかといえばBSDのベースを持つFreeBSDなどより後発であると思われた。またTCP/IPのネットワーク機能は有していなかった。しかしその後、当初はマニアのものと思われたLinuxも多くの人が開発に参加するようになり、いつのまにかFreeBSDを凌ぐPCで動くUNIXの主流になっていった。


 一番大きな要因は、Linuxがインターネットの進歩の時流にピッタリと乗ったことだろう。FreeBSDサーバーではなく、Linuxサーバーがインターネットの普及にも貢献したといえる。もし有償WindowsやSolorisしかなかったら、これほどのスピードで世界的にもインターネットは普及してこなかったかもしれない。開発に関連してはオープンソースという概念の最初の事例となったことである。


 現在では、UNIXの伝統を受け継ぐのはSolarisではなくて、Linuxであることが明らかになっている。UNIXクローンがUNIXの主流となったようなものである。さらに言えば、UNIXという名称そのものがすでに過去のものとなっているかもしれない。商標その他の問題もあったが、コンピュータの世界で伝統を受け継ぐということは、決して既得権を所有し、その主張をして世襲のようなバージョンアップをすることではなかったようだ。これは今後も変わることはないだろう。