SkyDriveやGoogle Docsにバックアップ

 商用アプリケーションソフトを紹介するのはあまり本意ではないが、クラウド時代に面白いバックアップソフトだと思えた。「HD革命/BackUp Ver.11」である。

SkyDriveやGoogleドキュメントに直接保存が可能な「HD革命/BackUp..」(INTERNET Watch)

 HDDの内容を丸ごとバックアップするのは昔から必要のあることではある。ただし容量が飛躍的に大きくなり、HDDの間でコピーするだけでもかなりの時間がかかる。HDDのバックアップには、現在では容量的にはやはりHDDにするしかない。もうDVDなどのリムーバルメディアの時代ではない。


 一方、ネットはクラウドの時代である。その中では仮想化された大容量のストレージが利用出来る。ならばPCのHDDのバックアップもクラウドのストレージの中にしてしまおうという発想である。現状ではSkyDriveで25GBまで、Google Docsは1GBまでユーザごとに利用することができる。容量的にはSkyDriveが圧倒しているが、Google Docsもなかなか便利ではある。これらにまとめてPCのデータをバックアップできるようにしたのが「HD革命/BackUp」である。特にこのソフトを使わなければアップロードできないわけではないが、ローカルのデータをクラウドにバックアップするというコンセプトが面白い。というより、クラウドの正しい使い方を考えさせてくれる。


 クラウドに大事なデータを置いておくのは不安というのが従来の考え方であった。それゆえ、クラウドにアップロードしたデータは必ずローカルにバックアップを取っておくというのが常識的なのではないか。ところがそれはむしろ逆で、ローカルの重要なデータこそ、クラウドにバックアップを取っておくべきだということになる。それがクラウドの正しい発想だと思える。


 今回の震災で地方の自治体も物理的被害を受け、住民基本台帳まで消失してしまったところがあったという。もっと早く自治体クラウドが進んでいれば、自治体の重要データはクラウドに保管できていたはずだ。自治体の建物やサーバーが壊滅しても、データはクラウドに無傷で残っていたはずなのである。またそれこそがインターネット本来の精神だったはずである。


 アプリケーションの話からやや外れたが、自分もMySQLのデータベースのバックアップした圧縮ファイルをGoogle Docsにバックアップして、必要なユーザと共有している。単なるバックアップだけでなく、こうしておけば他所でサーバーを立ててMySQLも運用するとき、簡単にこちらのデータをリストアできるからである。


 もっともクラウドではOSまで仮想化したデータを簡単に移行できることになるわけだから、バックアップも事実上、仮想化の1つということになりそうだ。