「Windows」と「Office」は好調か?

 Microsoftの台所事情を心配したところで仕方がないが、その販売、利益の内容が今後のネットの動向、クラウド時代の進展を占う手掛かりにはなりそうだ。昨年暮れの売上げは、特に「Office」は好調だったという。

MSが「Windows」と「Office」の2つのドル箱事業を..(CNET Japan)
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 WindowsとOfficeのセットは、もう長いことMicrosoftのドル箱になっているのは明らかな事実である。ただ、このこととネット時代の進行とは一致していない。WindowsとOfficeもオンラインの技術のものではないからである。


 Windows 7に関しては、Vistaが売れなかった反動が大きかったように見える。XPは古くなっていることは認識しつつも、Vistaに移行するリスクが大きすぎたため、XPのままで買い控えた組織、個人が多かった。Windows 7Vistaの問題点が改善されたとみなされ、ようやく期限切れのXPのリプレースをするようになった。それがWindows 7とOffice 2007の売上向上に繋がったといえるだろう。そのWindows 7もそろそろ行き渡ったとみられる。Officeの方はすでに2010が出たことから、こちらへのアップグレードを行った分が売り上げ増に繋がったのだろう。


 ただそこまでは、従来通りのWindowsとOfficeの定期的アップグレードによる売り上げを目指すものに過ぎない。ネット時代あるいはクラウド化として考えるならば、WindowsからWindows Liveへ、OfficeからOffice Web Appsへと移行するべきなのだろうが、利益構造はそう単純ではない。Windows Liveの登録者が増えただけではWindowsに代わる利益を出すものにはならないし、無償ないし安価なOffice Web Appsを広めたとしても、むしろデスクトップのOfficeの売上げを減少させることにもなりかねない。これらはあくまでネットの分野で、Google Appsへの対抗ないしは牽制するためのサービスとみた方がよいだろう。


 MicrosoftとしてはWidnowsとOfficeがドル箱でいられる間に、次世代のサービスをそれに代わるドル箱事業して育てたい。それはネット事業であり、クラウド事業である。しかしそこではむしろ先行するGoogleとことごとく衝突する。Googleが圧倒的な検索広告に切り込むためにBingを立ち上げYahoo!との提携もはかったが、結局はGoogleを脅かすほどには至らなかったようだ。ゲーム分野のXboxソニーの敵失があったり、クラウドでもAmazonのトラブルもあったりはしたが、かといってWindows Azureはまだまだ投資段階で、利益面では未知数だろう。


 WindowsやOfficeがMicrosoftの主たる利益の源でなくなった頃が、クラウドが標準になったときといえるかもしれない。