Chrome OS搭載のネットブック発売へ

 ようやくというべきか、今さらというべきか、Chrome OS搭載のネットブック「Chromebook」が6月15日から発売されるという。SamsungAcer製のもので、まず欧米7カ国で発売される。日本国内は震災の影響からか?、また後回しになりそうだ。

Googleの「Chromebook」が一般発売へ まずはSamsungとAcer..(ITmedia)

 Googleが出すぞ、出すぞと言いながら、2年以上も経過したように思う。ネットブックが流行のうちにリリースしておけばインパクトも大きかったかもしれないが、今はネットブックそのものが下火になっているのである。


 OSとブラウザが統合された形で、起動も速いことからクラウド専用クライアントといえるだろう。Google ChromeがOSも兼ねているようなものである。クラウドだからローカルのストレージはそれほど必要なく、SSDで十分なものとなるのだろう。


 もともとネットブックはOSをLinuxをベースに最小限の構成にした、クラウドに接続するシンクライアントに向いたものといえただろう。ところが、ネットブック市場に目を付けたMicrosoftが強引にWindows XPをプリインストールさせた。それから元のコンセプトが捻じ曲げられ、安価なノートPCという位置づけになってしまった。しかしノートPCと見てしまえば、パフォーマンス、画面の多きさや操作性など、多くの点で不満が出るものとなった。「Officeが使いにくい」などは、シンクライアントの話ではないはずである。


 Chrome OSは、ネットブックを再び元々のコンセプトに引き戻すものと思われた。Windowsに頼らずに、ブラウザからダイレクトにネットやクラウドに接続できるからである。ところが開発が遅れたか、まずGoogle Chromeのバージョンアップが先である必要があったのか、Chrome OSは「狼少年」になっていった。そしてiPadに始まるタブレットPCのブームが到来した。世の中はネットブックが進化する方向ではなくて、クライアントPCとしてはタブレットPCが主役になっていくと見られるようになる。それとともにネットブックは減少するようになり、ブームは完全に去ったようである。そこにようやく、Chrome OS搭載のネットブックがお目見えとなるのである。


 Chrome OSが登場できないでいるうちに、ある意味でのライバルは、もはやWindowsではなく、Androidになってしまった。モバイルの世界ではAndroidスマートフォンタブレットPCとも、Appleに対抗する標準になってしまっているからである。Chrome OSは当面はネットブック用であるとしても、そのターゲットを拡げようとするのは容易ではない。それでもChrome OSがネットの中で、これまでの勢力図を変えるだけの影響力を持つことができるかどうか。