ソフトの違法コピー率で日本は世界で最小

 望ましいことなのではあろうが、日本は米国などと並び、世界で最も違法コピー率の低い国になったのだという。ソフトウェアのライセンス主義という思想が行き渡っているともいえるわけで、やや考えさせられる結果ではある。

ソフトの違法コピー率、日本が世界で最も低い国に..(CNET Japan)

 違法コピーが相変わらずはびこるのは新興国開発途上国が多いのは容易に想像できる。貧しいがゆえにソフトウェアを買うお金がないからである。仕事をするのにOfficeなどのソフトウェアが必要だが、会社には予算がなく購入すれば経営が立ちいかなくなるという構図である。また「著作権」という概念がそもそも浸透していない。これはセキュリティ意識とともに、教育の問題でもある。


 日本でも著作権の問題は理解されていても、20年くらい前まではソフトウェアのコピーは、ナアナアで行われていた。まだネットもない時代で、コピー防止機能も特になかった。ビデオをダビングするのと同じような感覚だった。規制が強まった後でも、コピーする人は習性でコピーしてしまっただろう。しかし次第にプリインストールが標準になって、アプリケーションソフトウェアを一からインンストールする必要もなくなっていった。それどころか組織では勝手にインストールすることができなくなっているので、違法コピーの余地すらなくなっている。それだけに、いくつかの自治体でOfficeなどの組織的な違法コピーがいまだに行われていたというニュースがあった時には驚いたものだ。


 またネットの普及から、オープンソースソフトウェアの登場、Webアプリケーションのクラウド化と進み、少なくても個人で有償ソフトウェアを買う必要はなくなってきた。もはやソフトを買ってインストールこと自体が「ダサイ」ことのように思えるようになった。


 個人的には20年前でも、UNIXの世界でのリチャード・ストールマンを信奉していて「フリーソフトウェア」「コピーレフト」の思想に共鳴していただけに、ソフトウェアの著作権のあり方や、商業的ライセンス主義には根本的に疑問を感じていた。それが少なくてもサーバー分野ではWindowsを捨て、Linuxに傾倒することに繋がっていった。日本人は従順な民族だけに「違法コピーはいかん」と言われればそれに従い、「自粛せよ」と言われれば皆が自粛するような淡泊な対応であり、特に信念があってそうしているわけではないように見受けられる。それゆえ「違法コピー率世界最小」と言われても、そんなものかとしか思えないのである。