Windows 8の開発環境はHTML5とJavaScriptがベース?

 「まさかね」「いや待て、Microsoftならやりかねん」という疑念が渦巻くような話ではある。次期Windows 8にともなって、また開発環境が大きく変わるか?という予測である。

「Windows 8」の開発環境を巡る不安--HTML5とJavaScriptベース..(CNET Japan)
Why Microsoft has made developers horrified about coding...(ars technica)

 Windowsの開発環境といえばVisual Studioであるが、それがWindows 8では「Visual Basic」「.NET」などのベースを捨て、HTML5JavaScriptベースに移行するのではないかという疑念である。それはMicrosoftWindows 8のデモでの「このアプリケーションは、HTML5JavaScriptをベースにした当社の新しい開発プラットフォームで作成されている」と述べたことを根拠にしているものだという。ここだけ捉えれば、Visual Studioの新版にHTML5JavaScriptをベースにした開発ツールが新たにラインアップに加わると取れなくもない。それがもし全面的移行となると、話は別になる。


 こうした疑念を持たれるのは過去のいわくがあるからである。.NETに移行したとき、それまで旧Visual Basicの開発者などを切り捨てたのではないかと言われたものだ。明らかに当時のJavaの仮想環境に対抗するもののように見えた。それまでのVisual BasicやVisual C++から、.NET+Visual C#を中心に移行するように見えた。しかしその後、Javaの方も定着はしたものの、Web上では必須のものではなくなった。PHPなどを含むLAMPが出現したからである。


 さらにその後Googleによって、AjaxによるJavaScriptの復活により、Web環境にはJavaよりもJavaScriptが必須になりつつある。そしてHTML5対応への必要性という流れは、Microsoftの開発環境とブラウザを古くさいものへと追いやりつつある。そこで新版のVisual StudioではHTML5JavaScript中心へと大転換を図るのではないかという予測が成り立つわけである。「開発者を見捨てないだろう」というのは情緒的な予測に過ぎない。いざとなれば、強引に移行ツールなどを提供してお茶を濁すこともありうるからである。


 それはともかく、Microsoftは他はともかく、形は変われどVisual Basicを捨てることはないだろう。それはビル・ゲイツが一線から身を引いたとはいえ、Microsoftの歴史そのものだからである。WindowsやOfficeよりもそれは古い。拡張を繰り返し、現在ではJavaのようにオブジェクト指向まで取り入れた言語になっている。さすがにBasicオブジェクト指向を学びたいとは思わないが。


 自分としてはむしろ気になるのは、ExcelなどのマクロのVBAの先行きである(Excel以外のOfficeアプリではほとんど使わない)。こちらはVisual Basicでも旧版の仕様ままになっているはずである。Webアプリとしてのマクロでは、GoogleなどはJavaScriptを使うことになる。MicrosoftもOffice Web Appsを進めるときに、相変わらずVisual Basicをマクロとするのか、あるいはWebだけにJavaScriptへの転換を図るかである。古い版のままだったから、むしろ移行しやすいのではないかと思える。もっともマクロの移行ツールは必要になるだろうが、マクロはターゲットが分かりやすいだけに比較的に容易に行くような気もする。ただ、これはGoogleなど非Micorosoft Office陣営にとっても都合の良いことになるだろう。これまではOffice文書を読み込めるというだけで、マクロなどは対象外だったものが、マクロにも互換性が出てくる可能性があるからである。そちらを期待したいものである。