国内HPC市場は減少を続ける

 スーパーコンピュータが世界一を奪還する一方で、HPC(High Performance Computing)市場は減少を続けている。長期に渡る不況や、直近では震災の影響もあるとはいうものの、やはりスーパーコンピューティングの需要と形態が時代とともに変貌してきていることを示すものだろう。

2010年の国内HPC市場はほぼ半減、11年はさらに縮小―..(ITmedia)

 単純にHPC市場とはスーパーコンピュータの市場だとしたら、それはもう導入案件は限られるし、大企業か大きな大学、研究所くらいなものである。確かにかつてはそれらの世界の中のことだけだった。しかしネットがこれだけ発達した世界の中にあって、HPCの需要はむしろ大きくなっている。それはもはやバベルの塔のようなスーパーコンピュータ(昔だとCray-1のようなものか)に頼る話ではなくなっている。


 クラウドのようにクラスター化したx86サーバー群をネットで接続して、トータルで巨大な処理を行うのというのがその考え方だろう。それ以前はグリッドコンピューティングといっていた。瞬間的最高速を争うのはスーパーコンピュータだろうが、現実問題に適用するときに、それはさほど意味がない。そもそもリソース的に処理可能かどうかさえ問題なのであって、自前のサーバーだけでは不可能な問題が多くあるのである。クラウドはそのリソースの問題に突破口を開いたように見えるし、それが新しい形のHPCに繋がるように思える。