Googleの「Native CLient」の行方

 Chrome OSを搭載したネットブックがようやく出荷されるようになるが、OSそのものというより、Goolgeにとっては「Native CLient」(NaCl)の開発、セキュリティ対応に時間がかかっているのかもしれない。デスクトップからWebに完全に移行させる核心技術だからだといえそうだ。

「Chrome」の徹底的な改修を開始したグーグル..(CNET Japan)
グーグル,「Native Client」のSDKを公開-ウェブアプリ利用..(2.11)

 Google Chromeはブラウザとしては、先行するIEFirefoxに追いつくべく、凄いスピードで開発されてきたと思われるが、それは単にパフォーマンスで追い越すだけのことではなかったようだ。

 今となってはHTML5対応とかWebGL対応など、どんどん新しい状況に対応することもあるし、セキュリティ面でも常に強化が求められてきた。これらは他のブラウザと標準化でもあり競争でもある。


 しかしWebサービスクラウドをベースにするGoogleにとってはそれだけでなく、従来のプラットフォームであるデスクトップ(つまりはWindows)をWebベースに移行させることに大きな目的があった。そこで必要なことはブラウザから何でもできること、Webアプリケーションの実行ばかりでなく、Webからクライアントのネイティブコードまで実行できることである。


 これは便利そうだが、ネットからローカルクライアントを制御できてしまうことにもなり、直感的にもセキュリティ面で大きな問題がありそうに見える。しかし実質的にはWindows Updateとかセキュリティソフトのアップデートなど、ネット側から半強制的にクライアントのローカル側の変更が行われている。むしろそれを行わないと「あなたのPCは危険な状態にあります」と言われてしまうわけである。


 正体不明のWebサイトからこれを行われるのはたまらないが、ChromeChrome OSを通じて、Googleクラウド側からセキュリティを保証した上で一元的にこれを行おうというわけである。そこにユーザの選択は制約されるかもしれないが、それはむしろセキュリティとのバーターだというわけである。現在のようにブラウザおよびOSのバージョンがユーザの選択の元だと、脆弱性の解消などは保証されない。NaClが一般化するとこうしたことがなくなる可能性がある。


 ただ現在のところ、Chromeが前提の技術であるから、Chrome OSの先行きと同様に、Googleの思惑通りにPCのクライアント環境が変わっていくかどうかは、まだわからないところである。