Firefox 4のサポート打ち切りに不満の声

 Firefoxのアップデートのサイクルを急に6週間としたMozillaだが、企業ユーザからは不満の声が起きている。ようやくFirefox 4移行の検討を始めたところで、もうFirefox 5となりFirefox 4のサポートを打ち切るとしたためである。

Firefox 4のサポート打ち切りに企業から不満の声、..(ITmedia)

 確かに企業ユーザからすれば、OSでもOfficeでもバージョンアップされたからといって、すぐに移行できるわけではない。半年から1年くらいは様子見をしてバグもとれて安定化してきたところでようやく移行を検討するというくらいあろう。セキュリティの緊急アップデート以外は、そう簡単にはアップデートはできない。昨日まで正常に動いていた業務用アプリケーションが、システムをアップデートした途端に不具合が生じるようでは困るからである。そこが個人ユーザのケースとは異なる。


 ブラウザについても同様だろう。最近はWebアプリにシフトしているから、ブラウザのWeb環境への対応が変わることによって何が起こるか検証が必要になるからである。最新のブラウザはHTML5やCSS3対応だの、WebGLだのを宣伝しているが、新しい機能よりも既存のWebアプリが無事に動いてくれることが、まず第一だからである。企業側の対応は当然としても、Mozillaの最近の方針は何か焦りがあるのだろうか。IE相手よりもGoogle Chromeに対してかもしれない。


 さて、企業側の不満に対してすかさずMicrosoftIEの宣伝を行っているという。いわくIEはバージョン別にサポートがしっかりしているとのことだ。だが、ちょっと話が違うのではないだろうか。そもそもFirefoxを採用するようになったのは、IE6がWebでは非標準だったことやセキュリティホールが問題になっていたことが大きかっただろう。IEがシェアを減らしてFirefoxに移行したユーザが多かったのは、単なる好みだけの問題ではない。ここにきてFirefoxが進み過ぎるからといって、かつてのIEのバージョンアップに怠慢だったMicrosoftが、今さらという気もする。それにIEだけのバージョンだけの問題だけでなく、Windowsのバージョンにも関わっているから、こちらにはまた別の問題がありそうだからである。Firefoxのサポートに不満があるからといって、簡単にまたIEに戻れるものではないだろう。


 Mozillaとしては、Firefox 3.6まではともかく、今春に出たばかりのFirefox 4に関しては、さすがにもう少しサポートを続ける方が現実的対応であるだろう。