「水戸黄門」シリーズが完全打ち切り

 久しぶりに「ドラマ」の話題を書く気になったのは、なんととうとう超マンネリシリーズの時代劇だった「水戸黄門」が打ち切りというからである。特に現在の「水戸黄門」シリーズに思い入れがあるわけではないが、43部にも及んだシリーズが完全打ち切りなのと、これで民放からレギュラーの時代劇が消え去ることになることが気になった。

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水戸黄門、視聴率低迷…もはやこれまで(asahi.com)

 時代の流れと言ってしまえばそれまでだろうが、地上デジタル移行とはいえ、時代劇ばかりでなくテレビそのものの退潮から来ているのだろう。時代劇の視聴率が悪くなったからといって、では現代のドラマやバラエティ番組を代わりに流したところで、それで視聴率が上がるわけではないだろう。単に時代劇の制作に経費がかかることから、打ち切りにせざるをえなくなったというところだろう。


 ただ水戸黄門に限っていえば、夕方の時間に延々と流している再放送の方はその時間帯にしては視聴率が高いはずである。昔の番組と現在のものでは何が違うのだろうか。今でも水戸黄門といえば「東野英治郎」や「西村晃」のときが面白かったという声も聞かれる。自分としてはお銀の入浴・・ではなくて、渋さで風車の弥七の「中谷一郎」が好きだった。もっとも弥七よりは「助け人走る」の辻平内役が最高だった。音楽とまたよくマッチした。「仕事人シリーズ」の隠れた傑作の1つだった。



辻平内の中谷一郎田村高廣


 はっきり言って、原作と脚本、そして何より迫力のある時代劇の役者が居なくなったということだろう。NHK大河ドラマなどもそうだが、立ち居振る舞い、セリフからして、現代劇と何が違うのかというほど軽くなったように見える。それが迫力不足にも見えるのだろう。


 自分が子供の頃は、面白い時代劇が多くて、いつのまにか時代劇好きとなっていた。その中では水戸黄門などは、むしろ好みではなかった方である。自分はアウトローの主人公の時代劇が好きだったからである。「必殺仕事人」や「影の軍団」「木枯し紋次郎」などなどである。昔は民放各局が1つはレギュラーの時代劇を持っていたものだが、それがいつのまにか水戸黄門だけになってしまっていたようだ。そしてその最後の砦も落城となった。時代劇の好きな人がそれほど少なくなったとは思えないが、それを支えるだけのテレビ局の制作能力、時代劇俳優の人材枯渇でいかんともしがたくなったというところだろうか。


 これで時代劇そのものは、だんだん過去の遺物のようになり再放送で見るものしかなくなっていくのだろうか。次はそろそろNHK大河ドラマも怪しくなってくるかもしれない。