アナログ放送がついに終了

 これは歴史的出来事なのだろうか。何年も前から予告されてきた、テレビの地上デジタルへの移行、アナログ放送の終了が昨日の日曜日に行われた。特別にイベントや盛り上がりがあったわけでなく、わりとあっけなく終わったという感じである。問題はデジタルへ移行しきれずに、テレビが視聴できなくなった「地デジ難民」であるというのだが。

アナログ放送終了で問い合わせ・苦情10万件以上..(ITmedia)
アナログテレビ放送が終了 58年の歴史に幕

 「デジタル化」という大義名分のもとに、地上波テレビもデジタルに移行したのだが、テレビというコンテンツの面からは、デジタルになったからといって情報のあり方が変わったわけでもなく、あまり意味が感じられないというのが国民の率直な意見だろう。苦情の中に「国策なので国が負担すべきだ」というものには苦笑させられるが、一理あるようにも思える。


 ただテレビが見られなくなってそんなに困る人なら、テレビが生活には最も重要な1つであろうから、資金がないならそれなりに何年か前から計画して対応していてもよさそうだ。それとも引き篭ってテレビを見ているだけなので、誰にも相談もできなかったのだろうか。国の政策も必ずしも是とはしないが、これも時代の流れと受け止めるしかないだろう。そのうち、紙の新聞も配達されない時代が来るかもしれない。そんなとき、自分の家にだけは配達を続けろとも言えないだろう。


 それよりも若い人にとっては、むしろこれを機にますますテレビ離れが進むような気がする。どうしても見る必要があれば、PCでも見れるしワンセグでも見れる。何もテレビの番組予定に時間を拘束される必要はないだろう。むしろW杯放映などは、どこかに集まって盛り上がりながら見た方が面白いかもしれない。まさにテレビ普及期の頃の「街頭テレビ」への回帰である。


 テレビ離れで問題となるのは、NHKの受信料の支払いである。事実上、テレビを見ようが見まいが、税金のように受信料は支払わなければならない。NHKは未払い者には法的手段も辞さないとしている。デジタル移行は結構だが、この仕組みは、もはやおかしいのではないかという気になる。つまり国民にはテレビを見る見ないの選択の自由はないのである。電気やガス、水道料金とは違うのである。これこそ「国策」ではないのかと思える。そうであれば、いっそ税金に組み込めばよいだろう。見ないのに「自主的に」受信料を支払うのもおかしなものである。


 デジタル化移行とは新しいテレビを買うことではなく、震災時にNHKやTBSがUstreamに番組を配信したような形ではないのかと思えるのだが、どうだろうか。