「Google+」で大量のアカウント削除?

 先行して公開されているSNSGoogle+」で大量のアカウントが削除されているという。本名使用に関するポリシー違反のためではないかというが、そもそもそうしたポリシーはGoogleが決めることではない気がする。

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 今年になって、Facebookで同じように非実名登録のユーザのアカウントが削除されていたのを意識したのだろうか。そのときも強引なやり方と思えたが、「Google+」はまだテスト段階である。期限を設けて正式移行させるなどの措置はできなかったものだろうか。まるで某国のネットの検閲のようですらある。こういうやり方は、サービス利用への不安、クラウドに対する不審の念を拡げることにもなりかねない。


 そもそも「Google+」のポリシーなど、登録段階では明確にされていなかったはずである。登録者が急激に増加したために制限を付けるために、とって付けたポリシーのように思える。パブリッククラウドならではの、やや矛盾した対応であるように思える。個人情報やプライバシーに注意を払わなければならないパブリックなSNSでの「実名」か「匿名」かでの利用は、ベンダーが決めることではないだろう。前から感じていることだが、SNS利用の趣向者は、Gmailのユーザと同じではない。Gmailに匿名のメールアドレスで登録しているユーザは数多くいる。もともとプライベートでの利用を前提としているからである。


 この「Google+」はむしろ組織内で利用する需要の方が大きいだろう。その意味ではFacebookよりも、SalesforceのChatterに近い。Chatterではそもそも登録が同じドメイン名のメールアドレスでなければできなくなっている。だからプライベートクラウドでの利用になっている。FacebookGoogle+のようにパブリッククラウドとして利用者を集めると、ドメイン名で制限するわけにはいかないから実名を求めることになるのだが、それはベンダーが強制できることではないはずである。


 プライベートクラウドとしての利用ならば、本名かどうかの規定はベンダーの管理ではなくて、SNSのコミュニティやグループの運営者が行えばいいだけの話である。そもそもコミュニティのメンバーに招待された人しか登録もできないはずだからである。自分はまだ「Google+」に登録はしていないが、それはGoogle Appsでの利用を前提にしているからである。不特定多数の人とお友達になりたい目的ならば、本名、実名問わず、Facebookを利用していればいいからである。どうもパブリックとプライベートの狭間で、Googleも混乱しているように見受けられる。やはりSNSはあまり得意ではないからだろうか。