スマートフォンを安全に使うこととは

 スマートフォンが普及してきているのはよいが、セキュリティ面ではまだまだ心配である。というよりセキュリティ対策、意識ともに追いついていないのはないかとも思える。そんな中、IPAスマートフォンを標的としたウイルスへの注意を呼びかけている。

スマートフォンを安全に使う6カ条(ITmedia)

 例によって何カ条かの注意を挙げているのだが、あまりパッとしない。6カ条の「6」には特に意味はなさそうだ。なぜなら、この注意を見ると簡単な話、6番目のスマートフォンを小さなPCと考え、同様に管理する」というだけで尽きてしまうからである。むしろ、同様に管理できないところに問題があるともいえよう。


 スマートフォンは小さなPCのようなもの、とは少し触れてみるとすぐにわかるだろうが、むしろPCを理解している人にとっては、PCと異なる点から入ることの方が効果的ではないのか。スマートフォンウイルス対策などのセキュリティ面は、今年に入ってからようやくボチボチというところだろう。特にAndroidを標的にするようなウイルスの存在が知られ始めてきたからである。Androidマーケットにすら、ウイルスが混入していたという。大手のセキュリティソフトベンダーからも、ようやくスマートフォン用のウイルス対策ソフトも提供されている。ただ同時にPCのときと同じようなアップデートの煩わしさに見舞われることになる。そしてプロバイダに相当するキャリアもパケットに対する発想が、PCとはだいぶ異なることである。ほとんど中央集中管理型になっているにも拘らず、スマートフォンではPCと同じような分散型のウイルス対策をしなければならなくなるというのは、やや矛盾を感じざるをえない。


 ユーザ全体でみれば、PCのユーザ層とはだいぶ違うともいえる。PCに十分慣れた人がスマートフォンに行くわけでなく、むしろPCをあまりやらない層がいきなりスマートフォンのユーザになるケースが多くなると思われる。何かのCMで「お父さんのノートPC、お母さんのタブレット、娘のスマホ」(息子のゲーム機くらいか)という言葉があったが、典型的なアクティブユーザ層を言い当てているかもそれない。携帯の時と同様に、それぞれのレベルのユーザへの啓蒙そのものが必要になるのだろう。なのでIPAの標語のような通り一遍の呼びかけと対策では(ビジネスユーザだけを対象としているのかもしれないが)、あまり効果がないかもしれない。