GoogleがMotorola Mobilityを買収

 IT業界ではよくある買収だが、これはやや驚いた買収劇だった。Googleモトローラ・モビリティを買収し、本格的にAppleiPhoneと対抗していくのではないかと目されている。

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 Androidはもともとオープンソースであり、この方針は今後とも変わらないだろう。ただこれまでGoogle純正のAndroidスマートフォンとしてはHTC製のものはあったが、売れ行きはかんばしくなく直販はやめてしまった経緯がある。今後はモトローラ開発のスマートフォンAndroidを搭載したものが、Google純正になることになる。Androidを搭載するスマートフォンメーカーにとっては、純正スマートフォンもライバルになっていくことになるだろう。特に日本国内のガラパゴスケータイのメーカーにとっては、ますます厳しい競争となっていきそうである。


 Googleにとっては、直接的なiPhone対抗というより、特許訴訟対策のためでもあるのではないかといわれている。Android自体もJavaの特許をめぐりOracleに訴訟を起こされたりしているが、AndroidスマートフォンをめぐってはGalaxy tabなどでSamsungAppleに訴訟を起こされている。ハードウェアの歴史のなさがAndroidの足かせになっていると見ることもできる。モトローラといえば、もっとも古い携帯電話メーカーでもあり、この分野の特許管理と対策をまかせられると思われたのだろう。モトローラにとっては、スマートフォンに遅れをとり、すでに過去の企業と思われつつあったところをシェアではトップに立っているAndroidGoogle純正スマートフォンを投入できることになる「起死回生」といってもよい状況かもしれない。OSとハードウェアの組み合わせとしては、先に発表されたMicrosoftNokiaの提携に比較される大きな組み合わせとなるだろう。


 さてモトローラと聞くと、1980年代から90年代まではやはりRISC CPUメーカーとしての名前である。Machintoshやワークステーション全盛期のCPUといえばモトローラRISCプロセッサだったのである。「CPUとは」の話では、必ずIntelのようなCISCと、RISCのことが説明されたものだった。CPUも進化が進み、あまりCISCRISCの区別もされなくなったように見える。CISCRISCの要素を取り入れ、Intel系CPUが主流を占めるようになっていったからである。RISCではIBMがその地位を受け継ぎ、次第にCPUではモトローラの名前を聞かなくなった。それと前後して携帯電話メーカーとしてのモトローラの名前を聞くようになった。RISCは、携帯機器やルータのような組込み機器のCPUにむしろ向いているのかと思えたものである。ちなみにモトローラは今年初めに、モトローラ・モビリティ・ホールヂングスとモトローラ・ソリューションズ分社化されていた。


 かつてはPCでMicrosoft-IntelApple-モトローラが対抗する図式だったが、スマートフォン分野ではそのAppleと真っ向から対抗するGoogleのお膝元で、iPhoneに対抗していくことになる。