スティーブ・ジョブズ氏がApple CEO辞任

 Appleスティーブ・ジョブズ氏がCEOを辞任した。あれだけの大病から復帰して激ヤセした姿を見ていれば、むしろよくここまでトップでいられたものだと思える。また年齢的にも同世代のビル・ゲイツはじめ、ほとんどの名をなした人は事実上引退をしていることを考えれば、PCの黎明期の最後の一人だったともいえる。

アップルのS・ジョブズ氏、CEOを辞任--後任は..(CNET Japan)
ジョブズ氏の後任、ティム・クック氏の業績をたどる

 Appleの創業期から実に30年以上もトップで走り続けてきたことになる。それは単なる経営者としててなく、常に時代の先をゆく斬新なコンピュータやデバイスを提唱し続けてきたところに凄さがある。初期の頃の1980年代前半のAppleからMacintosh、2000年代以降のiPod,iPhone,iPadなど、よくこれだけの「当たり」を作ってこられたものだと思う。


 だが、個人的にはジョブズが最も輝いて見えたのは、初期のApple社を追放されて、理想のコンピュータを求めて設立した「NeXT Computer」でワークステーションNeXTcubeとそのOS「NextStep」を世に出したことである。当時はSunと並ぶワークステーションの花形ともなった。ブラックボディといわれたデザインは知る人ぞ知るものである。しかしハードウェアは高価なこともあり、90年代にはOSのNEXTSTEPだけが生き残ることになる。Intel版ではあったが、当時としてはNEXTSTEPの画面を見た時のすばらしさは忘れられないものだった。自分にはPCのUNIXに向かわせるきっかけにもなった。まだLinuxが普及する前の話である。


 その後、NeXT社をAppleに吸収させる形でジョブズAppleに復帰することになるのだが、MacOS Xは事実上はNEXTSTEPがベースである。NeXT社は経営的には成功したものではなかったが、その高邁な理念とまた失敗があったからこそ、現在のAppleの成功に繋がっているような気がしてならない。


 さて、ジョブズ氏の後任となるティム・クック氏についてはよくは知らないが、かつてIBM PC部門Compaq取締役などを経てAppleに入社した経歴の人である。現在はIBM PC部門Lenovoへ、CompaqはHPに吸収されている。そうした激動のPC業界を生き抜いてきた人だからこそ、ジョブズ氏かの信頼も篤いのだろう。ただしジョブス氏のようなカリスマ的手腕は一代限りであろうから、今後Appleがどのような路線を歩んでいくことになるのか、少し時間が経たないと見えてはこないだろう。