HPのPC部門は分社化して独立か

 HPでは先日、タブレットでwebOS事業が打ち切りになっただけでなく、PC事業そのものの整理も検討されていた。PC部門Samsungに売却するという噂もあったという。分社化として独立するという話もあるが、どうなることか。

HP、PC部門は「分社化して独立」を選択か(ITmedia)
Samsung、HPのPC事業買収のうわさを否定(8.25)

 PCのハードウェアが花形だった時代はすでに去ったという感が強い。どんどん高性能化されるにつれて逆に価格は下落し続けており、消費者感覚的には標準的なスペックのPCで、10年前の1/4、20年前の1/10程度まで下がったように思える。


 HPといえば、もともとPCの製造メーカーというイメージではなく、プリンターなどの周辺機器からワークステーションなどのメーカーのイメージだった。PCのイメージが強くなったのは、Compaqを買収してからといってもよいかもしれない。そして現在、利益率が低くなっているのはそのPC部門である。コンピュータ部門で1,2位を争っていたIBMも、PC部門をすでに中国のLenovoに売却している。PCの実質的な製造は以前から台湾になっているし、同じようにGalaxyシリーズを出している韓国のSamsungに、HPのPC部門を売却しても不思議はないだろう。


 ただあくまでPC部門を独立会社としてスピンオフさせる形で存続させるという動きもある。察するにこれは元のCompaqグループの人間が中心なのかもしれない。さらにはCompaqに吸収されたDECの流れも残っているかもしれない。もともとベンチャーの気質を持っていた企業が大企業に買収されると輝きを失い、実質的に事業が消滅してしまうケースは多い。買収されたばかりだが、webOSの中心だったPalmも同様なのかもしれない。株主の意向ばかりが反映されると存在価値を失ってしまうのだろう。それにしても少なくともコンシューマのPC部門は、タブレット中心へとシフトしているので、その中でよほど斬新なコンセプトの製品を出していかなければ、やはり存続は難しいことになるだろう。HPそのものには特に思い入れはないものの、これまでのPCやサーバー、ワークステーションの歴史の流れの一環としては、どう推移していくのかはなんとなく気になるところである。