大晦日興業は「元気ですか!!」

 毎年恒例の大みそかのNHK紅白への対抗の格闘技イベントは、今年はやや状況が違う。それは格闘技全体が「不況」に陥っているためだ。そして最後に頼ったのが、やはり「我らが」アントニオ猪木だった。大晦日興業は「元気ですか!!」だという。

ことしの大晦日は「元気ですか!!」猪木がプロデューサー..(sportsnavi)
ジョシュ、バンナへの挑戦決定/IGF(SANSPO.COM)
猪木仰天プラン「清武氏VS渡辺会長」(nikkansports.com)

 総合格闘技はPRIDEが消え、その後2団体存在したが一方の「戦極」は吉田秀彦引退とともに事実上消滅、またPRIDEのスタッフ中心のDREAMも独自の興業能力はなく、K-1運営団体であるFEGに頼っていたが、そのFEGすら経営危機に陥って興業ができない状態になっている。かつてK-1とPRIDEでフジテレビ中心に華やかに放送していたことが、不況だからとはいえ、まるでウソのような衰退ぶりである。


 かつてはその勢いのまま、年末には民放で競って格闘技イベントをNHK紅白にぶつけて放送していた。猪木の興業も含め、同じ時間帯に3局も格闘技を放送していたこともあった。中でもDynamite!は2010年まで形を変えながらの継続してきた。ところが今年はFEGが撤退、事実上Dynamite!は終了となる。


 そこでDREAMが年末イベントの継続を目指して頼ったのが、猪木のIGFだったということになる。昔はPRIDEのイベントプロデューサーでもあった猪木であり、2002年の国立競技場で開催されたDynamiteの開会式では、ヘリの上からスカイダイブして降り立つというパフォーマンスを行ったこともあった。今からすれば懐かしい。


 そもそも大みそかに興業を行うというアイデアも猪木が2000年から開催した「INOKI BOM-BA-YE」が先駆けである。そのさらにルーツは確か1995年12月30日に行われた「INOKI Festival」である。そのメインは、猪木と久しぶりにプロレスの試合に登場した高田延彦とのタッグだったと思う。大みそか興業の元祖は猪木なのである。K-1とPRIDEもそこに目を付け、事実上お株を奪うことになった。


 ところがその両者とも衰退。昔のキックボクシングの末路のようだ。プロレスも長期不況は続いているが、どっこいまだ生きているようだ。もちろん馬場だ、猪木だ、新日本だ、全日本だといっていた時代の活気はない。


 時代は変わり、猪木はIGFというプロレス団体というよりイベント団体の会長になっている。婿養子?のサイモン猪木や元UWFの宮戸や、最近では蝶野まで猪木の元にブレーンとしてやってきている。猪木だからこそスポンサーが付いて、なんとかやっているというところだろうか。しかし上がるリングがなくなったK-1ファイターは猪木を頼り、IGFのリングに上がるようになった。いつのまにかIGF王者はジェロム・レ・バンナということになっている。昔から猪木と親交もあるピーター・アーツも上がっているくらいである。やはりプロはまず興業ありきなのだということを思い知らされる。もうK-1総合格闘技だプロレスだと競合している余裕もない。プロレスはなんだかんだ言われながらも、やはり草の根的な興業にも強く、離合集散を繰り返しながらも、どっこいしぶといのである。そこが歴史の長さの違いだろうか。



「元気ですか!!」開催発表