Facebookでは「6次の隔たり」でなく「4.7次の隔たり」

 "It's a small world !"はディズニーランドのアトラクションではないが、人間社会のネットワークは高々6人程度で繋がっているというのが「スモールワールド性」の示す結果だった。友達の友達を辿っていくと、世界中のどんな赤の他人とでも平均でたった6人目で行き当たるということになる。我々も初対面の人と偶然共通の知り合いがいることがわかって「世の中、狭いねえ」と驚くことがあることを実証しているのである。決して偶然なことではなく、人間社会のネットワークの構造からは十分ありうることになる。ところがFacebookSNSの世界では、さらにこのネットワークがより密にコンパクトになっているようだ。

Facebook、世界中の4.7人目は友達の友達という調査結果(ITmedia)

 3年前はほぼ5.28人、そして今回の結果では平均4.74人まで縮まったという結果がえられたという。これをもって「6次の隔たり」を誤りとか過去の話というのは早計である。もともと「6次の隔たり」は1960年代に手紙のリレーによる実験として得られ、その後1990年代に電子メールの実験で同様の結果が得られた。そのときの「友達」の条件は「直接面識のある人」だったと思う。その条件に従えば手紙だろうが電子メールだろうが、平均6次になるのである。


 ところがFacebookの「友達」は直接面識がなくてもよいから、そもそも前提条件が異なる。Skypeなどで顔を見たことがある、などというのは直接の面識ではない。ネット上の繋がりは容易に広範囲になりやすいのは当然である。その効果が直接の面識の6次から、5次や4次まで縮めたと考えられる。


 ちなみにWebのリンクの繋がりで、全く知らないWebサイトへ到達するのは確か10何次かになるはずである。しかしこれも「スモールワールド」であることには違いがない。そもそも「6」という数字そのものに絶対的な意味があるわけではない。「6」だろうが「12」だろうが、世界中が繋がってしまうというオーダーとしては「十分スモール」だということが重要であり、それを実現するためのネットワークの構造がどうなっているかが問題であったはずである。それは不均一なネットワークであり、リンク数がきわめて多い「ハブ」の存在が重要であるとされる。ネットの世界でいえばGoogleのような巨大なリンクを持つサイトの存在である。ネットワークの進展にしたがって、サイト数が拡大するとともに、これらの巨大なハブがますます成長する結果、これだけ小さな平均次数になることになる。


 今回の結果はFacebook内のネットワークの繋がりの話だが、ユーザ数が8億人ほどにもなり、ハブとなるようなコミュニティなどが不均一に成長した結果であるとみることができるだろう。