ドコモが来夏iPhone参入の報道流れる

 日中、人の話を漏れ聞いて驚いた。ドコモがついにiPhone参入?という日経ビジネスが報じたからだった。しかしドコモはただちにこれを否定するコメントを発表している。いったいどうなっているのか。

ドコモ、来年夏にiPhone参入 次世代高速通信規格..(日経ビジネス)
ドコモが来夏、iPhone/iPad発売? 日経ビジネス報道(ITmedia)
ドコモ「Appleと交渉している事実はない」iPhone参入報道に

 火のないところに煙は立たぬで、推測記事ばかりの怪しげなサイトならともかく、日経ビジネスであるから、それほど飛ばし記事を書いたとも思えない。基本合意に達したかどうかはともかく、全く交渉もなかったとは思えない。ソフトバンクとのiPhone獲得競争に敗れてからも、裏では機は窺っていたと見るべきだろう。ただ、ソフトバンクiPhone攻勢に、AndroidのGalaxyを対抗に押すのはあまりドコモらしくないとは感じられていた。今秋からはKDDIiPhoneを導入するなど、国内のキャリアでは最大手のドコモだけがiPhoneの選択肢がないという、やや歪んだ形になっている。iPhoneだけがいいとは言わないが、ユーザに提供する大きな選択肢が欠けているというのはおかしな話ではあった。


 さてドコモは否定するものの、推測だがドコモが再びAppleと交渉するようになった背景には何があったのか。国内的にはiPhoneの選択肢がないことからのユーザ離れを食い止める目的があったことだろう。またApple側とは、ジョブズが亡くなったことが影響しているかもしれない。以前はジョブズと直談判をしながら、Appleへの上納金を渋ったことからソフトバンクに敗れ、ジョブズもドコモに対して良い印象を持っていなかったかもしれない。しかしその障壁がなくなったことで、改めてApple側に働きかけたのではないか。


 ドコモが報道を否定するのも当然だろう。導入されるとしても来秋になるiPhoneばかりが話題になると、今秋に続々投入したAndroidスマートフォンが買い控えされる可能性が出てくるからである。少なくとも来秋まではAndroidスマートフォンをどんどん販売してスマートフォンへの移行を促し、収益を確保していきたいからだろう。そしてiPhoneに期待してソフトバンクauに流れたがる一部のユーザを、留められればよいのだろう。


 回線の質からして簡単にドコモから離れられないでいるドコモユーザにとって(自分もその一人だが)、選択肢が確保されることは望ましいことだけに、難しいことはあるだろうが、是非粛々とAppleと交渉を進めて実現してほしいものである。