Winny開発者の無罪確定へ

 Winny裁判は結局開発者の無罪確定になった。初めから無理があると思われた裁判であり、すっかり風化して今や人々の関心すら薄れてしまったように見える。

Winny開発者の無罪確定へ 検察側の上告棄却(ITmedia)

 一審では有罪判決だったものの二審では逆転無罪判決、そして検察側は上告したわけだが、最高裁は二審の判決を支持し上告を棄却した。二審判決からもすでに2年が過ぎている。争点が何だったかも詳しく調べる気も起らないが、著作権侵害には当たらないとの判断は当然のことのように思える。2年前のブログで「殺傷事件が起きたからと言って、包丁を作った人を逮捕するわけにはいかない」という表現をしたが、その考えは同じである。それに社会的にはP2Pファイル交換フトは著作権問題よりも、個人情報の流出などの方が大きな問題になっている。結局、利用の規制もあってユーザは減少しつつあり、ネットの関心もP2Pソフトよりもクラウドやストレージへと移っている。


 裁判というものも、時流に乗りたがる傾向にあるようである。マスコミが騒ぐと当局も動きたがるし、世論を有罪にすべしのムードにミスリードする恐れもある。少なくとも裁判所は裁判官の多数決はあるだろうが、マスコミや世論の多数決とは独立したもののはずである。極端に思えるのは最近の「小沢裁判」で、小沢一郎という政治家が特に好きだったわけではないが、マスコミの叩きと強制起訴があまりにも強引に見え、そして一審の判決では「推認」ばかりの有罪判決と、これはひどいものだと感じるようになった。その意味ではWinny裁判と似たようなところがある。


 それにしても無罪になった頃にはすっかり時代が変わり、世の中にも忘れられ、そもそもあの裁判は何だったのかと思われるようになるのでは、日本の司法制度のありかたにさえ、疑問を抱かざるをえなくなるだろう。