GoogleのMozillaとの契約金は年額3億ドル

 GoogleMozillaとの検索契約を更新したばかりだが、なんとその額は年間3億ドルだという。高いのか安いのかは一概には言えないが、前回の契約より、むしろ契約料が上がっているという。ブラウザの分野では競合するライバルといえるはずなのだが、Googleの措置がいろいろな憶測を呼んでいる。

Googleが新契約でMozillaに支払うのは年額3億ドル―..(ITmedia)

Googleは善意で10億ドル支払うわけではない」というのはその通りだろう。ブラウザのシェアだけに目を向ければ確かに奇妙だが、Google検索のシェアを維持するためだとしたら、ある程度は納得がいく。どのブラウザからでもGoogle検索を利用できるのは当然だが、実際Bingが登場してからはIEから検索するにはBingで、という考え方にはなりやすい。シェアが減少しつつあるとはいえ、まだIEのシェアは5割近くある。仮にGoogleFirefoxを見限るような方針に転換するとすれば、Mozillaは自己防衛のためにもBingやYahoo!検索との連携を深めるようになるだろう。実際、「Firefox for Bing」なども公開している。GoogleとしてはChromeFirefoxの連合軍でGoogle検索との組み合わせで、IEとBingに対抗する方が現時点では有利という判断だろう。


 また将来的な独禁法対策という見方もある。米国ばかりでなく欧州、アジアと国が変われば独禁法の対応も異なる。ブラウザではライバルであると同時にパートナーとしてMozillaとの関係を保っておいた方がよい。Mozilla非営利団体という点も、独禁法をかわすには都合がよいのかもしれない。と思って調べてみたら、まさにGoogleからの資金のためにMozillaは非営利の立場に疑問が持たれている向きもあるようだ。


 Google自身は「Chromeはシェア獲得のためではなくWebの高速化のため」と主張するが、建前と本音は別のところにあるだろう。GoogleMozillaを「生かさず殺さず」にすると言われてきたが、当分は生き残ることになりそうだ。Mozillaといえば、DNAはNetscapeにある。Netscapeがたどったような道をMozillaには歩んでほしくはないものである。