ドコモの通信障害再び

 ドコモがまた失態をやらかした。都内の中心部で通話もメールも繋がらない状態になる通信障害が発生したという。単なるトラブルというより、スマートフォンを急速に普及させたがっているドコモの基本戦略と対応に、根本的な原因があるような気がしてならない。

ドコモの通信障害が復旧 都内14区で影響(ITmedia)
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 直接的には交換したばかりの新型パケット交換機が、一時的なパケット量の増大に耐え切れずにオーバーフローしてダウンしたということのようである。まあパケット交換機を再起動しただけでハードウェア的には復旧はできただろう。だが、その弁解の内容が問題である。


「(スマートフォンの)通信量の増大に対する見積もりが甘かった」


これはないだろう。およそネットワークに携わる人間ならば、パケット量の評価はシミュレーションも含めてピークにどうなるかなど、正確に把握していなければならないものだろう。その上でシステム構成から機器の性能までが決まってくる。その見積もりが甘かったなどというのは素人にまかせたか、コスト削減ばかりを優先させたかのどちらかだったのではないのかと思えてしまう。なぜなら日本の携帯はパケット量に課金されているではないか。ネットの精神の立場からすれば、これはとんでもない話だと思えるのだが、それを生業にしている携帯キャリアであるならば、パケット量の算定や予測はそのまま売上げの計算そのものではないか。その見積りができないというのならば、呆れた話というわけである。


 法外なパケット料金は、むしろスマートフォン普及の障害になるはずである。それにも拘わらず、世界的なスマートフォンブームのおかげで、ドコモもその恩恵を受けているといえる。Androidの端末だって、自社が投資して開発したものでもない。通信回線さえ押さえていれば、それに税金のようにパケット料金をかけているだけで利益が出る仕組みになっている。そこに甘さがあると言わざるをえない。


 さらにパケットが増大した理由を「無料通話アプリ」の利用の増加を挙げている。特定はあえてしていないものの、Skypeのことを言いたいのだろうか。なんだか責任転嫁した上で、まるで無料通話ができることが悪いような言い回しではないか。パケット料金が高すぎる方が、ネット利用の上でははるかに「悪」である。そして震災時に全く役に立たなかったという事実を再認識してほしい。