サーバホスティングで大規模なデータ障害

 昨年には標的型攻撃による大規模な個人情報の流出もあったが、さすがにこれはひどいと言わざるをえない障害と顧客データの消失が起きた。1企業の問題にとどまらず、レンタルサーバーサービス、クラウド(と称している)サービスの信用、安全に対する疑念の論議を起こさせかねないものである。少なくともこれは、クラウドサービスではなかったと思える。

ファーストサーバで大規模なデータ障害 顧客データが消失(ITmedia)
大規模障害のファーストサーバ、「データ復旧は不可能」
ファーストサーバ、データが消えた理由を説明..

 ネットで障害が起こるのはよくあることであり、むしろそれを前提としたシステム設計がなされるべきである。メンテナンスも同様で、なぜメンテナンスを行うかといえば障害を事前に検知、予防するものであるからであろう。しかしこの作業自体がシステムに致命的障害を引き起こすものだとすれば、根本的なシステム設計が間違っているとしか思えない。それも単純なヒューマンエラーが入り込む程度のものだとすればなおさらである。あまり細かい技術的な原因をフォローする気にもなれないが、コストや人員の問題を絡めるのは直感的に考えてもおかしいと思える。「安かろう悪かろう」がネットのサービスではないはずである。


 近年クラウドが言われるとき「コスト削減」ばかりを議論する向きがあるが、そうした視点からは、コスト削減をするとこうなると映るであろう。しかしどうも障害を起こしたサービスはクラウドにはなっていない。旧来のレンタルサーバーの形態に過ぎないようである。だからローカルサーバーが逝ってしまえば、全体が一巻の終りの構成にしかなっていなかったようだ。バックアップやらサブシステムも同じ所にあったようだ。何より最悪の結果は顧客データを復旧不可能で消失させてしまったことである。ネットの障害で一時的にアクセスできなくなることはありうることだが、預けていたはずのデータが消失するということは、有料サービスではあってはならないことである。もっと言えば、むしろクラウドはこうしたことを避けるためのシステムであるということだ。仮に災害があって日本にあるサーバーが壊滅しても、データはアメリカや香港だのに残っているということが可能になるものである。今回の件をクラウドの話とごちゃ混ぜにして報道はしてほしくないものである。