違法ダウンロード刑事罰化はあいまい

 今日とうとう消費税増税の法案が衆院を通過してしまったが、並行するように先日衆院を通過した著作権法改正法案が参院も通過、10月1日施行が決定してしまっている。「決められない政治」が「決められる政治」へと動いていると国民に思わせたいのかもしれないが、いかにもドサクサに紛れてという感が否めない。消費税増税が国民のためでなければ、こちらの著作権法改正法案も国民のためではない。

違法ダウンロード刑事罰化 境界あいまい「摘発より抑止」(ITmedia)
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「市場を公正なものに」「CDが売れるようにはならない」(6.19)

「違法」という観念だけが強調されるあまり、具体的にどういう範囲、適用される条件などがあいまいであるようだ。単に国会での審議が不十分という以前に、条文そのものの出来も悪いという。施行後の実際の適用はきわめて不透明である。それだけに様々な推測、極論が飛び交うことになる。こういう状況になること自体、ユーザである国民のための法律になっていないことがわかる。YouTubeを見ただけで犯罪になるのかだとか、違法ファイルが勝手にメールなどで送りつけられてきて知らずに開けたら犯罪になるのかなどと、変な想像がいくらでも働くようだ。ユーザのPCやネットの操作が常に監視されるかのような印象を受けさせられる。


 しかし極めつけは、行政の解釈と司法の解釈は異なることがある、ということである。文科省などの行政側はセーフの判断をしていても、「親告罪」として訴えがあれば司法はユーザを立件できることになる。最近流行りの?司法権の濫用も可能になるという。親告するのは現実的には著作権関連団体ばかりであろう。つまりは著作権関連団体にとってだけ都合のよい法律に見える。やたら被害額ばかり強調するが、まるで中国での海賊版DVDの話のように思わせる。算定額すら怪しいものがある。むしろネットに制約をかけようとすればするほど、今の時代にはコンテンツは売れないことになっていくだろう。消費税増税法案と並び、不快な思いをさせられた法案可決である。