CERNがヒッグス粒子発見を発表

 今日は大きなニュースとして、CERN(欧州合同原子核研究所)が未発見だったヒッグス粒子が発見されたと報じられた。

ヒッグス粒子発見か CERNが新粒子観測を発表(ITmedia)
ニュートリノ「超光速」を正式に撤回 再実験で判明(6.8)

 ただ新発見といっても、つい先日はニュートリノは光速を超えるとした実験結果を撤回するなど、功を焦りすぎてか、にわかには信用されないケースも多い。大きな発見とはいっても素粒子や宇宙に関する理論とそれから導かれる結果などは、一般の人には到底理解できないものである。ニュースなどでも解りやすく説明しようとしているのだが、どこかに無理があるように思える。


 さてヒッグス粒子が非常に大きな発見とされるのは、歴史的には違いないだろうが、理論的にはすでに50年前に決着していることのように思える。いわゆる「電弱統一理論」(ワインバーグ=サラム理論)のベースとなる。そこで「質量が発生する」とはもともと対称な理論(質量0)が破れる南部陽一郎の「自発的対称性の破れ」が本質であろう。ただ、ヒッグス機構だけではクォークや重力の説明まではできない。だから「神の粒子」とまで言われるのは重要性のアピールもあるのだろうが、やや大げさである。


 仮に今回の発見が間違いだったとしても、ヒッグス粒子の存在がベースになった上記の「標準理論」が覆ることはないと思える。マスコミまで巻き込んだ今回の結果は、世界的にも予算のかかる加速器による実験をアピールする意味合いもあるようだ。NHKアナの「今回の発見によって、私たちの生活にどう影響してくるのでしょうか」という質問にはやや可笑しくなった。そういう所からは最もかけ離れた分野に思えるからである。